「日本人の写真は外せ!」韓国3.1独立運動100周年で盛り上がる”反日”の機運。悪化する日韓関係の行方

“韓国のQUEEN”をも引っ張り出した文政権

 今、韓国で話題となっているのが、2010年バンクーバー五輪のフィギアスケートで金メダルを獲得したキム・ヨナ氏と、韓国の人気バンドGuckkastenのボーカルである、ハ・ヒョヌ氏が歌う、「3.1独立運動」100周年を記念した「3456」という曲だ。

3.1運動及び大韓民国臨時政府樹立100周年記念事業推進委員会Facebookページより

 この「3456」という不思議なタイトルに込められた意味とは、 3:1919年 3.1独立運動 4:1960年 4月革命 5:1980年 5月光州事件 6:1987年 6月民主抗争 の、韓国近現代史における重要な事件が起こった月を並べたものである。  ちなみに1980年5月の光州事件と1987年6月民主抗争については、文政権になって以降、それぞれ「タクシー運転手」、「1987」という映画に描かれ、韓国国内で空前のヒットとなった。  この「3456」という政治的プロバガンダとも受け取れる歌を、韓国の「QUEEN」(※名字の「金」と「QUEEN」の発音が似ている)と呼ばれるキム・ヨナが歌うという事が国内で話題になり、曲も大きな広がりを見せている。これは韓国が、今回の「3.1独立運動」100周年を大事に見ているかの証左に他ならない。  しかし韓国の文政権は、なぜこれほどまでに日韓関係を悪化へと突き進めるのか。  支持率が落ち始めた政権が、韓国世論の琴線にふれる「対日感情」を刺激することで支持率の回復を狙っている云々との報道もあるが、筆者はそれだけではないと思っている。  第2回米朝会談の実施により、激動する朝鮮半島情勢の中で、文在寅大統領は強かにタイミングを見ているのではないだろうか。  今、日本や韓国を含む東アジアの情勢は、大きな地殻変動を起こし始めている。  平昌冬季五輪の南北融和から始まり、2度に渡る南北首脳会談、米朝会談と、北朝鮮の核の廃絶と朝鮮半島の恒久的平和の構築に向けた動きが活発化している。  勿論、日本も東アジアの一員として、この変化に対応していかなくてはならない。その「変化」の一番の例は、今年1月28日、国会での施政方針演説で安倍総理が語った言葉だろう。 「北朝鮮の核、ミサイル、そして最も重要な拉致問題の解決に向けて、相互不信の殻を破り、次は私自身が金正恩委員長と直接向き合い、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動いたします。北朝鮮との不幸な過去を清算し、国交正常化を目指します」  北朝鮮との国交正常化、とはっきり口にしたのだ。  北朝鮮との国交正常化となれば、拉致問題の解決は勿論であるが、一方で、過去史の清算という問題の解決もしなければならない。総理自信が「不幸な過去を清算」すると言っているのだ。その際には、北朝鮮側から、「徴用工」や「慰安婦」の問題が提議されるだろう。日本はその時も、「なかったこと」、「解決済み」であると突っ張る事が出来るのか。  日韓の歴史問題は、高度な外交問題でもある。強かなのは、日本と韓国の果たしてどちらなのか。 <文・安達 夕 @yuu_adachi
Twitter:@yuu_adachi
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