また、メディアだけでなく、一般人からの反応も外国人のほうが敏感に捉えているようだ。呆れるどころか、怒りに満ちた声が出ている。
「こういう年寄り(政治家)にこそ、さっさと死んでほしいよ。政治に限った話じゃないけど、人を非難することは問題の解決にはならない。もしこのバカ(Asshole)が本当に女性のせいだと思うなら、この人たちが悪いと指をさすんじゃなくて解決法を示すべきだ」(男性・37歳・アメリカ人)
「女性が悪い」「女性がこうするべき」といった発言が多いわりには、具体的な施策はまるで出ていない。本来、政治家の役割は国民の“ご意見番”でいることではなく、幸せに生きるための仕組みづくりをすることなのだが……。
「そもそも、子どもがほしくない人もいるし、そんなことを政治家が一方的に押しつけるのがおかしい。産みたいと思っている人が、安心して産める環境を作るのが仕事でしょ。オンナは子どもを産むべきかなんてことを議論している時点で的外れ」(女性・29歳・フィンランド人)
もはや感覚が麻痺してきているが、今後も同様の失言・暴言は続くはず。なんとも心身に悪い作業ではあるが、そのたびに問題点にしっかり向き合い、政治家の責任を問い詰めていかなければ、この負の連鎖は止まらないだろう。なにより、社会が好転することもないはずだ。
「今はSNSも普及して、情報とか言葉の進んでくスピードが速くなってる。そのぶん、平気で暴言を吐く人もいるけど、『まあいっか』と思わずに、しっかり考えさせないとマズいんじゃないかな。特に責任ある立場の人が、ツイッターに書き込むような感覚で無神経な発言をするのは危ないと思う」(男性・35歳・アメリカ人)
本人が問題ないと思っている以上、止めることができるのは周りの人間だけだ。はたして、暴言が止む日はいつくるのだろうか。
<取材・文・訳/林 泰人 photo by
大杨 via flickr(CC BY 2.0)>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン