千葉・野田の虐待死事件を「他人事」で終わらせてはいけない

 テレビのコメンテーターは「なぜ誰も気づかなかったのか」と口を揃える。「児童相談所の人員があまりにも少ない」と言う識者もいる。それらの指摘はそれぞれ正しいのだろう。だが、当事者――加害者としての当事者――としては、それらの指摘にどうも首を傾げざるを得ない。加害衝動を有する者は、そうした「気づきの仕組み」「保護の仕組み」の裏をかいて、加虐の限りを尽くすのだ。 「気づき」や「保護」だけでは、同様の事件の再発を防ぐことは不可能だ。被害の未然防止のためには、暴力の連鎖を止めねばならない。何が暴力なのか、何が加害なのか。誰もが一度、捉え直す必要がある。  心愛さんの父親と私を分かつ一線は、極めて薄いものにすぎない。あなたと私の間にある線は、一体どれほど濃く太いものだろう? <取材・文/菅野完> すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。現在、週刊SPA!にて巻頭コラム「なんでこんなにアホなのか?」好評連載中。また、メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(https://sugano.shop)も注目されている
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(sugano.shop)も注目されている
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