高速120km/h化で煽り運転が増える!? その3つの理由とは

流れを止める運転弱者、トラックなどが煽りの対象に

 その「様々な要因」とは、主に以下の3つだ。 1.流れに乗れなくなる運転弱者  高速道路を使用するのは、何も120km/hが出せるドライバーだけではない。中には、運転が苦手な初心者や高齢者なども走っている。  今回の試行は、「120km/hを出さねばならない」という訳では決してない。にもかかわらず、速度が増した「周囲のクルマの流れ」に乗れない彼ら運転弱者は、120km/h道路において、「ストッパー」という存在になってしまう可能性があるのだ。  最近、やみくもに「煽り運転は、煽られる方がきっかけを作っている」と考える風潮があるが、今回の120km/h化によって、不本意にも彼らがそうした「きっかけ」になってしまう恐れがあるのである。 2.「高級車に乗った凡人」らの暴走  以前、「煽る側と煽られる側の特徴」でも紹介したが、前出の「運転弱者」とは対照的に、高速道路には「高級車に乗った凡人」や「悪質ドライバー」といった、「運転狂者」も数多く存在する。  彼らは、身の丈に合わない高級車に乗ったり、えげつないスピードを出したりすることで、自分自身が強くなった気になる。そして、そんな自身の存在を知らしめるため、走行車線・追い越し車線に関係なく故意に煽りなどの危険運転に興じるのだが、彼らにとってこの120km/h化は、「120km/hの道路をノロノロ走るオマエらが悪い」という大いにひん曲がった口実になる可能性がある。  無論、こうして煽られる対象になる多くは「運転弱者」と、次に紹介する「大型トラック」だ。  3.速く走りたくても走れない大型トラック  今回、一般車両が120km/hを出せるようになる一方、大型車は80km/hに据え置かれた。  大型トラックは、社速(各業者が決めている速度)が80km/hとされていることが多いのに加え、2003年にスピードリミッターの装着が義務付けられて以降、いくらアクセルを踏んでも90km/hしか出なくなっている。  つまり、120km/hで走る一般車とは40km/h、予測される実勢速度では50km/hもの速度差が出てしまうことになるのだ。言い換えれば、これは100km/hの高速道路を最低速度の50km/hで走っているのと同じことになる。そう考えると、この50km/h差がいかに危険なのかが分かるだろう。  トラックにも70~75km/hで荷を守りながら慎重に走る車両もあれば、リミッターぎりぎりの90km/hで走るクルマも存在するため、左1車線のみでの実質的なトラック走行は、現在の日本の高速道路の構造と自動車数ではまず考えられない。  追い越しを掛けるべく車線変更をした際、そこに40~50km/hもの速度差のクルマが走ってくれば、追突事故の危険性は必然的に増加するし、今以上にトラックは煽られる対象になるだろう。
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120km/h化の中なおざりにされる軽自動車
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