さて、冒頭で指摘したように相手を睨んでしまう場合には口角を上げるという動作をすれば表情がやわらかくなるわけだが、どのような動作をすれば口角を上げるのだろうか?
そこまで具体的に、そして、誰でもできる動作に分解されていないことが多いので、世の中に諦めの感覚が流布しているように思えてならない。
挙句の果て、自分にはできない、持って生まれた顔なのでどうしようもない、長年この顔でやってきたので、今からすぐに表情を変えることなどできないと思ってしまう人が多いのだ。
口角を上げるには、「フー」と言いながら息を吐き出し、「ヒッ」と言いながら頬を上げるという動作をすればよい。しかし、このことを、文字で読んで、頭でわかったつもりになっても、表情は変わらない。実際にやってみないことには変わらない。
実は文字を読んで頭の中で理解し、日常生活の中で心がけているから、自然と出来るようになるということはない。そこで、スマートフォンを用意して、自撮りしながら、「フー」「ヒッ」と言いながら反復することが必要だ。
そんなことをやっても、なかなか身につかないのではないかと思うかもしれない。私の演習参加者は、ひたすら反復演習すれば、わずか15分で身につける。そして、一度、体で身につければ、日常生活の中で、自然と口角が上がるようになる。
調和型の人よりも、牽引型の人の方が、口角の上がる度合は低い。まずはこの方法を試してみることをお勧めする。
質問:口角が上がらない
相手をにらまないように、口角を上げて話そうとするのですが、口角が上がりません。持って生まれた顔つきなので、今さら変えることなどできないのではないでしょうか。
回答:「フー」「ヒッ」のリズムで口角を上げる
「フー」と言いながら息を吐き出し、「ヒッ」と言いながら頰を上げ、目を細めて目尻を下げる動作を、繰り返してやってみてください。鏡を見たり、スマートフォンで自撮りしたりしながらやってみることをお勧めします。口角が上がっていることに気づくはずです。毎日やっていると、相手をにらんでいるような表情が自然と消えていきます
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第123回】
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『
クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある