「私達は消された」。SNSで削除・凍結されたアーティストの展示会が開催

展覧会の内容をSNSに投稿した著者もまさかの……

マキエマキ氏の作品

インスタで削除されたマキエマキ氏の作品

 削除対象は、性器や乳首だけではない。「昭和B級エロをテーマに自撮りするハレンチ熟女」を名乗るマキエマキ氏(インスタ垢バン5回。最短アカウント保持日数は3日)は、下着姿で尻を丸出しにした写真(乳首なし)や、全裸で股間と乳首をホタテ貝で隠した写真をインスタグラムで削除されたという。 「胸は出しておらず、股間も手で隠している写真が、出力業者でプリントを拒否されたこともあります」(マキエマキ氏)  SNSだけではなく、印刷業者などの自主規制によって発表を阻まれるケースもあるようだ。  表現の自由を求める作家たちの展示会だが、SNSへの批判や政治的主張は一切ない。いずれの作品も、見る人によって好き嫌いはあるかもしれないが、作品のコンセプトや作家の美意識が素人目にもわかるものばかりだ。 「アートなのかポルノなのかという議論をするつもりはありません。我々は自分たちが好きなことを表現している」(酒井氏)  表現の自由のための主張や議論をするのではなく、BANされてもなお表現を続ける事自体を目指した芸術展だ。誰にでもわかりやすい「SNSでのBAN」をテーマにしていることから、芸術に疎い記者自身も作品を前にして作家陣とのとの会話に事欠かなかった。芸術に馴染みが薄い人が芸術に触れるきっかけとしても、成功しているように思える。  会場内は、一般来場者も撮影自由。作家名やハッシュタグ「#私たちは消された展」を併記すれば、作品そのものをSNS等に写真を投稿しても構わない。 「ただし、それによってSNSでBANされても、自己責任ということでお願いします」(酒井氏)  早くも展示会初日のうちに、Facebookに展示会の様子を写した写真を投稿してアカウントを3日間凍結された来場者も出ている。記者もさっそくFacebookに会場の写真を投稿してみたところ、投稿後7分で、警告メッセージが表示された。
藤倉氏の投稿

イベントの様子を投稿したらbanされた藤倉氏の投稿

 この展示会は、作家たちが経験したBANを来場者も追体験できる参加型イベントだった。 <文/藤倉善郎(やや日刊カルト新聞総裁)・Twitter ID:@daily_cult3> ふじくらよしろう●1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)
ふじくらよしろう●やや日刊カルト新聞総裁兼刑事被告人 Twitter ID:@daily_cult4。1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)
1
2
◆展示会名
私たちは消された展 -凍結削除警告センシティブな内容を含みます‐
◆出展者
マキエマキ、木野正好、howdy goto、天野功、18% Gray Koichi Nomi、フクサコアヤコ、MASADA-SUMMER、栗村新、逢見一月、酒井よし彦
◆会期
2019年2月11日(月祝)から17日(日)
10時から19時 ※初日は14時開場、最終日は18時まで
◆会場
ギャラリーコルソ
東京都千代田区神田神保町3-1-6日建ビル3F