一流になるための「1万時間の法則」。効果をさらに上げるにはコツがあった!
「1万時間の法則」をご存知だろうか? これは、特定の分野で一流になるために必要な練習時間として、フロリダ州立大学の心理学者のK.アンダース・エリクソン博士が提唱したものだ。
この「1万時間の法則」は日本でも一時期多くの人が口にしていたが、実はこの法則には続きがあることは、あまり知られていない。今回は、この「1万時間の法則」の効果をより高める方法として、博士の調査の続きを紹介する。
博士は1990年にベルリン音楽アカデミーでバイオリニストを学ぶ学生に対して、これまで何時間練習したかのアンケート調査を行った。すると、バイオリンを手にしたタイミングは全員ほとんど同じだが、トップクラスの学生はほかの学生よりも多くの時間を練習していることがわかった。
同調査によると、トップクラスのバイオリニストの総練習時間が、1万時間に達していたのだ。これが「1万時間の法則」の始まりだ。
バイオリニスト以外でも、作曲家、バスケットボール選手、小説家、チェス、大犯罪者などの分野でも同じ「1万時間の法則」があることが、神経学者のダニエル・レヴィティン氏によって報告されている。また、レヴィティン氏は、1万時間より短い時間で世界的レベルに達した例を見つけた調査はないということにも言及している。
しかし、1万時間と言われても、どれくらいの練習時間かはなかなか想像しづらい。まずはこれを少しイメージしやすくしてみようと思う。
たとえば、今の仕事で一流になるために1万時間働くとしよう。一日8時間働くとしたら、1250日間が必要である。これは、1か月で20日働くとしたら、約5.21年分に相当する。もちろん、普通の仕事では雑務も発生するため、ひとつの作業を一貫して5年も続けることはできないと思うが、仮にそうした場合には5年もかかるということがわかる。
この数字を見て、「意外に短いな」と思った読者は要注意である。そういう読者ほど「時間さえかければ成長できる」と思ってしまっている可能性があるからだ。今回のメインテーマは、そういう読者に向けて「1万時間の法則」の間違いを正し、その効果を確実に出す方法である。
1万時間の仕事量はいったい何年分?
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