謎のNordwind機の飛来にベネズエラメディアでさまざまな憶測が浮上したことを報じる「Clarin」紙
モスクワ郊外のヴヌーコヴォ空港からベネズエラのカラカス郊外のマイケティア・シモン・ボリバル空港に1月28日到着したロシアのノードウィンド航空ボーイング777。そのフライトには乗客はどこにも見当たらず、その一方で通常の2倍の数の乗務員が搭乗。ミステリーなフライトだとしてラテンアメリカ及びスペインのメディアの注目を集めた。
ベネズエラのジャーナリスト、ラファエル・ポレオは彼自身のツイートで「500人乗りの飛行機がベネズエラ政府のメンバーを搭乗させる目的で到着した。2倍の数の乗務員が搭乗しているということで、必要とあらば迅速に離陸可能だ」と述べた。(参照:「
Clarin」)
その後、別の憶測が流布されるようになった。
その発信元は経済家で国民議会の議員でもあるホセ・ゲッラである。彼は、ベネズエラ中央銀行に勤務の高官からの情報だとして、「モスクワから到着した飛行機は少なくとも20トンの金塊を持ち出すのが目的だ」と述べたのである。この情報の信憑性が高いとされているのは、ゲッラは嘗てベネズエラ中央銀行の部長だったことから、同銀行に勤務している官僚からの機密情報は得やすいという理由からである。(参照:「
Clarin」)
これに関係して、ロイターはこの飛行機をチャーター便として位置づけして、この飛行機が到着した前の週の金曜25日にマドゥロ大統領の身体の安全をより強化するためにロシアの傭兵と契約したということを報じたのである。即ち、2倍の乗務員が搭乗していたというのはその一部が傭兵ではなかったかという憶測ができるのである。
ノードウィンド航空は同社の機材がカラカスに到着したというのは認めているが、誰がこの飛行機をチャーターしたのかということ、及び航路についての詳細の説明は拒んでいるという。
それに対して、ゲッラは<「ベネズエラ中央銀行の高官が20トンの金塊、即ち保有量のおよそ15%を持ち出す為にチャーターしたものだということを彼に伝えた」>と言って明らかにした。しかし、具体的に誰がゲッラにこの情報を提供したのかという質問には彼は回答を避けたそうだ。(参照:「
La Nacion」)
20トンの金塊は時価8億4000万ドル(925億円)ということで、ロシアの飛行機がそれを国外にも持ち出すということであるが、その向かう先は勿論ロシアである。