KonMari旋風は、思わぬ方面にも影響を与えている。米軍がその1つだ。
KonMariメソッドの人気コンテンツの1つに洋服をコンパクトにたたむテクニックを伝授するものがあるが、米軍にも「レンジャーロール」というテクニックがある。
レンジャーロールは同じように洋服をコンパクトにたたむテクニックなのだが、KonMariのテクニックがタンスや収納ケースに保管しやすいものであるのとは違い、スーツケースやキャリーバックなどに入れて持ち運びやすく崩れにくい旅行に便利なたたみ方になっている。このレンジャーロールがKonMariブームの影響で、テレビの情報ニュース番組で取り上げられるなどの現象が起こっている。(参照:「
KTSM」)
しかしこのブーム、米国内では多くのアンチも生み出している。自宅の中にため込んでいる物を思い切りよく捨ててしまうことに拒否反応を示す人々がSNSで悲鳴を上げ、ジャーナリストやコラムニストが「私がKonMariに納得できない理由」といったタイトルの記事を書いているのを数多く目にする。
特に過剰なリアクションが起こったのは、本を捨てるエピソードのときだった。ツイッターでは反対意見のオンパレード。
「私は、本の魔力をわからない人なんか信用しないわ。本は来るべきときに私たちの前に現われ、読むべきときに私たちはそれを読むの。本に取って代われるものなんてないの」
「KonMariには申し訳ないのだが、僕は本棚を整頓することに朝から時間をかけたのに捨てようと思った本は1冊もなかった」
「ここまで彼女の番組をとても冷静に観ていたのだけど、私の考えとしてはあらゆるものは捨てられるけれど本とアート作品と鉢植えだけはムリ」
「私をときめかせてくれるのは基本的に本しかないわよ。山のような本を抱えてヌードで番組に乱入してやろうかしら」
多くの人がこうした本への愛情を切々と語り、捨てることに猛反発した。米国人はこんなにも本が大好きだったのか!という、これまであまり認識されていなかったかもしれないことを大々的にクローズアップした興味深いエピソードだった。
本と同じように米国人が過剰に反応するのが、マグカップだ。そういえば米国で土産物を置いているショップには必ずといっていいほど大量のマグカップがあり、しかもどれも大きい。彼らはどこかに出掛けるたびに記念のマグカップを購入し、家に持ち帰る。そして大きなマグカップがキッチンや物置のかなりのスペースを占領してしまうことになる。あるコラムニストは「私はこのたくさんのマグカップのすべてが、自分には必要だと感じている」と書き、捨てることを拒んでいた。