下げ基調の米国株。いまこそ「買い/買えない」銘柄を絞るチャンス

 米国を代表する企業と評された「GAFA」。しかし、昨年の相場急落をきっかけにその評価に陰りが見え始めた。その一方で、現在の株価下落は買いチャンスとの見方も。「買い」の企業と「買えない企業」を探れ!

実は割安!? 米国株の正しい勝ち方

 年初に世界の株式相場を「アップル・ショック」が襲った。12月の世界同時株安で疲れ切った投資家がつかの間の休息を取っていた1月2日、米アップルが’18年10~12月の業績予想を下方修正。これによって、年初の日米株式市場も大混乱に陥ったのは記憶に新しい。年が明けてしばらくすると日米株式市場とも落ち着きを取り戻し、米国株に至っては12月の相場急落の“半値戻し”を達成している。
アップルの株価推移

《アップルの株価推移》1月3日にはアップルのみならずナスダック(-3%)ダウ工業平均(-2.8%)も共に急落

 とはいえ、投資家の間ではGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)など主力株の業績悪化を発端とした「第二のアップル・ショック」に対する不安はいまだ拭えていないが……。  そんな不安に対して「昨年末からの相場急落は買われすぎの調整にすぎないと見ています」と、諭すのは米国株相場に詳しいアイザワ証券の今井正之氏だ。 「これまで約2年にわたってGAFA、以前はFAANG(ネットフリックス加えた5社)と呼ばれる一部のハイテク銘柄群が米国相場を牽引してきました。確かに一部企業の業績に不透明感が出てきたこともこれらの銘柄が売られた一因になっているでしょう。ただ、主因は10~11月に決算を控えた投資信託やヘッジファンドの売りに個人の税金対策売りが重なったからだと思います。そのため個別に見れば問題を抱える企業はありますが、相場全体としては反発に向かうとみています」

米国株のバリエーションは割安感が漂っている

 ’10年以降、米国の代表的な株価指数の一つであるS&P500指数は右肩上がりで上昇を続けているものの、ITバブル時やリーマン・ショック直前の株高局面に比べると、PER(株価収益率)などのバリエーション面に割高感はない。
米国株価指数と株価指標の推移

《米国株価指数と株価指標の推移》米S&P500指数と株価指標の推移。現在はITバブル時、リーマン・ショック直前と比べても指標的には割安と判断できる

 昨年の調整を今井氏は「米国の利上げ局面における1回目の谷」と指摘。前回の景気サイクル時である’04~’06年の利上げ局面に酷似していて、相場はいったん調整局面に入り、景気拡大を背景に再び上昇に転じると予想しているという。  そのなかで気になるのは、やはりGAFAなどを発端に「アップル・ショック」のようなショック安が起こるのかということである。それについて、某証券の米国株担当アナリストであるA氏は「メインシナリオではないが」と前置きしたうえでこう予測する。 「リスクがあるとすれば、まずはiPhoneなどアップルの端末や部品関連のメーカー。もし今以上に中国での販売が落ち込めば、業績悪化からショック安に繫がる。また、現在はクラウドなどソフトウェア関連に人気が集中しつつありますが、貿易摩擦などを背景にIT企業のマインドが悪化すればGAFA以外の企業がトリガーになると読んでいます。注意が必要なのはマイクロソフト、セールスフォース、アドビシステムズなどソフトウェア関連の銘柄。次なるショック安が発生するなら、このあたりの企業の苦戦を背景としたシナリオになるでしょう」  そのようなリスクをはらみつつも、今後のGAFAを中心としたハイテク関連株は買っても大丈夫なのだろうか?  A氏は「相場の過熱感は昨年後半の急落によって一巡しました。ただ、今後はFANG、GAFAなどと称される銘柄は勝ち組と負け組に分かれてくる」と話す。 「広告主が離れ始めているフェイスブックや、昨年10月まではFAANG系として人気を博していた半導体メーカーのエヌビディアは勝ち組から脱落する可能性があるかと。アップルにもまだネガティブな印象を持っていて、次の決算内容が悪ければさらに売り込まれるリスクがある」
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