世界中に散ったシリア難民たちの思いを繋げた「サッカー」

世界に散らばったシリア人たちの思いがつながった

サッカー教会に張られてあった写真

サッカー教会に張られてあった写真

 1月11日は、ヨルダンとシリアがサッカーで対戦した。ヨルダンには、シリア難民が100万人近くいるというから、さぞかし応援は盛り上がっただろう。結果は、0-2でシリアが負けた。  早速ヨルダンにいるシリア難民のマーゼン君に電話で聞いてみた。マーゼン君は、さらに湾岸諸国の親戚が320万円を工面してくれたそうで、とりあえずは、病院から出してもらえ、体調も良くて家でTVを見ていたらしい。 「悔しい!でも次があるんだ」と答えてくれた。1月15日、オーストラリアに勝てば、シリアにはまだチャンスが残されていた。  筆者は、ドバイのカフェで、シリア人労働者たちと一緒にゲームを見ていた。UAEは、シリア難民を一切受け入れていないが、5万人以上のシリア人が就労ビザを経て働いている。彼らの仕送りで、難民たちは命をつなぐことができる。  一緒に興奮しながら試合を見ていたムハンマッドさんは、10年前にアレッポから出稼ぎにきた。内戦には関係なく家族に仕送りするためにここにいるのだ。残してきた家族や親せきのためにもっともっと働かなくてはならない。帰れないのではなく、帰るお金があれば、仕送りに回さなければいけない。  マーゼン君がなんとか治療を受けられるのも、ムハンマッドさんのように親戚が湾岸で働いているからである。  試合は開始早々からエキサイトしていた。2点リードされながらも同点に追いついたが、最後はロスタイムにオーストラリアに決められ試合は終わった。シリアは一勝も出来なかったが、意地を見せた。同じ時間に世界に散らばったシリア人たちが、それぞれの思いでシリアを応援していた。思いはつながった。 <文/佐藤真紀(JIM-NET事務局長)>
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【佐藤真紀がシリアの話をするイベント】
日時:H31年1月26日土曜日 14:00-16:00
場所:三軒茶屋のキャロットタワー4階生活工房ワークショップルームA
スピーカー:佐藤真紀さん(JIM-NET副代表・事務局長)
要予約:contact@tarycafe.net
参加費:2000円
アラブスイーツとドリンクのセット付き