レーダー照射問題、外交問題化した日本側が一方的に投げ出し。「威嚇飛行」も再発生!?

米ネオコン系外交専門誌までもが苦言

 旧ニクソンセンター(共和党系)から出版されている外交問題誌、『The National Interest』で1/15に次の論文が掲載されました。この雑誌は、フランシス・フクヤマ氏の「歴史の終わり」が掲載された雑誌です。 Japan and South Korea Must Focus on North Korea (Not Each Other)There was no good reason for the recent high seas incident between Seoul and Tokyo. by Sukjoon Yoon (日本と韓国は、お互いではなく北朝鮮を注視せねばならない~ソウルと東京(日本と韓国の間)での最近の公海におけるインシデントは無意味である)  この論文の前半部分にこのような論評があります。 ”The stance taken by Japan on this incident is best explained by political factors. The government of Prime Minister Shinzo Abe is currently suffering historically low approval ratings, and this situation clearly provides a useful pretext to stir up jingoistic sentiments in his base support. South Korea’s Supreme Court has also recently ruled that Koreans drafted into forced labor during World War II are eligible for compensation. In addition, the ROK has also renounced arrangements made by the previous administration to draw a line under the issue of Korean sex slaves, also used by Japan during World War II. Obviously, Abe is seeking an opportunity to strike back at Korea and is using the P-1 incident for political purposes.” <要約>  日本側の強硬な態度は、日本側の政治的なものである。(政権発足来の)低支持率に苦しむ安倍晋三氏の政権にとり、この事態は、安倍晋三氏の基盤的支持母体に主戦論(排外主義的愛国心)を抱かせることにたいへんに有益な口実である。 <中略>  明らかに安倍首相は、韓国に反撃する機会を模索しており、本件事態(P-1インシデント)を政治的に利用している。 <要約終わり>  共和党系の多分にネオコン系と考えられる外交問題誌にて安全保障問題においてこのような恥ずかしい指摘がなされたのはなかなか例がないことと思われます。  それほど難しい論文ではありませんので、機械翻訳を併用しながら読解できると思います。

繰り返される日韓軍事インシデント

 そして、本稿執筆も終えようとした1/23 17時頃、またしても日本の哨戒機が韓国艦艇に低空接触を行ったという報が入りました。(参照:日本哨戒機「再び威嚇飛行」=明白な挑発と非難-韓国国防省”時事通信 2019年01月23日17時19分)  同記事によれば、韓国国防省が、“日本の哨戒機が同日午後2時3分ごろ(日本時間同)、済州島南方にある東シナ海の海中岩礁・離於島近海で、韓国艦に対する「威嚇飛行」を行ったと発表した”ということです。  “哨戒機は距離約540メートル、高度約60~70メートルで「低高度の近接威嚇飛行」を行ったと説明し”、”これより先の今月18日、22日にも韓国艦に対し「威嚇飛行」を実施したと主張した”と言います。  再び「威嚇飛行」があったことは挑発行為だとして、“国防省は「日本の底意を疑わざるを得ず、強く糾弾する」と批判。同様の飛行が繰り返された場合、「対応行動規則に沿って強力に対応していく」と警告した”のだそうです。  これらについては未だ未確認ですが、事実とすれば典型的な軍事インシデントのエスカレーション行為であり、国際的信用を瓦解させる恐れがあります。また、2015年に国会で強行採決した周辺事態法制の大きな根拠である半島有事における邦人保護を不可能とする暴挙となり得ます。第7回以降では、事態を見守りつつ、日本側の「最終見解」と韓国側の発表を詳しく論評してゆきます。 『コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」』番外編――広開土大王射撃電探照射事件について6 <取材・文・撮影/牧田寛 Twitter ID:@BB45_Colorado> まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題についてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中
Twitter ID:@BB45_Colorado まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題について、そして2020年4月からは新型コロナウィルス・パンデミックについてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中
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