写真/産経新聞社
時に起業スキャンダルを誰よりも深く掘り下げ、プロも驚くマクロ分析を披露してきた『闇株新聞』が休刊して4か月。今、新進気鋭のWebメディア『Day Code Times』が経済記者らの間で注目を浴びている同メディアが’19年の注目テーマを一刀両断!
国策値下げはSBに大ダメージ。ZOZOは営業利益率が急低下
’19年の日本株の見通しは明るくない。’18年11月半ばには上場企業の’19年3月期の通期業績予想が出そろったが、「好調な米国景気を追い風に」と言いながらも、全企業の売上高は4%増、純利益は1%増予想。このままいけば、3期連続の最高益更新となるが、’18年3月期の34%増益と比較すれば、失速ぶりが際立つ。日米通商交渉で不均衡是正に向けた圧力が高まり、円高も重なれば、’20年3月期の企業業績は大幅に悪化するだろう。
そのなかで最も注視したいのが、ソフトバンクだ。政府が携帯電話の通信料金を4割値下げするよう圧力を強めたことを受けて、8月にいち早く新料金プランを発表したが、10月にはNTTドコモが’19年度からの通信料金2~4割下げを発表。KDDIとともに“国策的”な値下げを余儀なくされた。
確かに携帯キャリアの利益率は高い。前期のドコモ営業利益は9733億円で、KDDIは9627億円、ソフトバンクは1兆3003億円(国内通信事業は6829億円)にのぼる。営業利益率はドコモ21%、KDDI19%、ソフトバンク21%で、東証1部上場平均の約3倍だ。4割減ったところで、高収益体質には変わらない。
だが、ソフトバンクだけは明らかに財務体質が、他社と異なる。有利子負債はドコモの100倍にもなる14兆円。その調達資金で米携帯キャリアのスプリントを約2兆円、英半導体大手ARMを3.3兆円で買収するなど、海外にもお金をバラまいてきた。加えて、サウジアラビアらの記者殺害事件である。ソフトバンクが推進する10兆円ファンドにはサウジ政府系ファンドが5兆円を投資する予定になっている。
今後サウジに対する国際社会の反発が強まれば、同ファンドの運用もままならなくなる。借入にレバレッジをかけて積極投資を行ってきたソフトバンクの強みは失われかねない。
同じく成長を続ける銘柄のなかでは、ZOZOにも気をつけたい。前期まで3期連続で1.5倍ずつ営業利益を伸ばしてきたが、’19年3月期の中間決算では27%減と急ブレーキ。物流コストや人件費の増加、ZOZOSUITという体形を測定できる製品の無料配布でコストがかさんだ影響にすぎず、「ZOZOTOWN」の取扱高は増加しているが、高成長企業は曲がり角を迎えると転落が早いもの。近年のガンホー、かつてのライブドアはその典型だ。
海外でいえばテスラやフェイスブックも曲がり角に差し掛かっている。テスラは3月に自動運転モードで死亡事故を起こしたが、’18年7―9月期四半期決算で上場以来3度目の黒字決算を達成。だが、’19年11月には22億ドル分の債券の償還が控えており、キャッシュフローは心もとない。
フェイスブックは増収を続けているものの、投資家予想は未達。ユーザー数の伸びも予想を下回るなど、成長の鈍化が如実に表れている。Amazonのような稀有な企業も中にはあるが、盛者必衰と肝に銘じておくのがいいだ
ろう。