日産スペインの将来に組合側は不安を表明。稼働不足で生産量が大幅減少

電気自動車の生産は好調だが……

 組合側が懸念しているのは、現在電気自動車の生産は好調であるが、それに集中した生産体制を骨組みにして行くと、まだ生産台数がそれほど多くない電気自動車と僅かのピックアップ車だけでは従業員の削減は更に加速化されると見ていることだ。  例えば、電気商用車NV200は昨年6000台生産し、それは2017年の50%増しであった。今年はこのモデルの生産を増やす計画である。この生産台数の89%は輸出向けで日本にも輸出されている。しかし、昨年のスペインでの販売は僅か468台であった。2014年から数えても、1500台しかスペインでは販売されていないのだ。  トラックを生産していた会社を買収して日産はスペインでの生産の足場を築いたわけであったが、トラックメーカーとしての体質を除き去るのは容易ではなかったであろう。例えば、フォードがバレンシアで畑などを買収して進出して来たようにまったく白紙の段階から工場を建設し、従業員も初めて自動車メーカーで働くといった形でのスタートであったのだ。(参照:日産スペインが「ゴーン会長逮捕」の報に気が気でない理由-HBOL)  日産スペインがフォードと同じように白紙の段階から進出していれば今とは別の発展をしていたかもしれない。現在フォードは8000人の従業員を抱え、ヨーロッパでもフォードの工場としてトップレベルにある。 <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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