ジェンダーギャップ世界110位のこの国で女性議員が受けている仕打ち

「モノ言う女性」を叩く社会の異常さ

 もう一つ興味深いことがあります。  それは、同じような送りつけの被害に遭っているのが村上さとこさんだけでないということです。熊本市議の緒方夕佳さん、元東京都議の塩村文夏さん、さらには政治家の枠を飛び出し、「許すな!憲法改悪市民連絡会」の菱山南帆子さん、太田啓子弁護士、南川麻由子弁護士、上瀧浩子弁護士、アジア女性資料センターの濱田すみれさん、作家の北原みのりさんなども同様の被害に遭っていました。  共通するのは、世の中にモノを申している女性たち。女性が世の中にモノを申すと、どこかの男性から嫌がらせを受けるようになるということです。住所や名前を調べられ、商品を送りつけられたら、多くの女性は怖いと思うことでしょう。恐怖心を与えれば心が折れると思って、言論を封殺できると思っている節があるのです。だけど、そんなことに屈してしまったら女性は意見を言えなくなってしまいます。ただでも女性の意見が無視されて、医師になりたいと思って大学を受験すれば、女性であるというだけで減点されてしまうような世の中なのです。  オジサンの政治家たちが子育ての大変さに寄り添おうとしないばっかりに、緒方夕佳議員が議会に子供を連れてきただけで大激怒し、のど飴を舐めていただけで大騒動になる始末。一事が万事こんな調子なので、日本のジェンダーギャップはいつまでも埋まらず、オジサンによる一部の企業だけが得をする政治が続けられているのです。

女性議員の少なさは地方議会の方が深刻である

かすみがうら市議選

かすみがうら市議選

 これは1月20日に投票日を迎えた茨城県のかすみがうら市議選の掲示板です。ご覧いただいても分かるように、女性は71歳の現職が立候補しているだけで、18人の候補者のうち、女性は1人だけです。東京から電車で1本で行けるような自治体でも、地方に行けば女性が政治に参加するのは極めてレア。いわゆる「保守王国」と言われるような場所では、まだまだ女性が政治に参加していないのです。  昨年7月に行われた常陸太田市議選、常陸大宮市議選でも、女性の候補者はそれぞれ1人だけ。  地方では議員の高齢化も進み、若い人が議員をやってくれないので、議会が全員中高年男性という現象も生まれ始めています。日本のサイバーセキュリティ担当大臣がパソコンを使えないジジィであることが象徴しているように、日本の地方議会は男性、しかも中高年男性優位な感性で仕事をしています。どの街も深刻な少子高齢化が進んでいるのに、未来の話を想像できないどころか、現在進行形の問題にも取り組めないのです。そして、たまに女性の議員が活躍すると下着が送られてくるセクハラ地獄。  僕はべつにフェミニストなわけではないし、女性のバッグをいちいち男性が持ってあげるべきだとも思いませんが、今の日本が女性議員を生み出しにくい構造になっていることは確かです。人口の約半分は女性なのですから、議員の半分が女性であるべきとまでは言いませんが、少なくとも女性の意見が政治に取り入れられない環境は不健全です。いくらネトウヨとはいえ、コワモテの男性に白ブリーフを送りつけることはしないでしょう。どうして女性に下着を送りつけるかって、こういう生理的に気持ち悪い嫌がらせをすれば、女性が萎縮して活動を縮小すると思っているからです。しかし、こんなことに屈するほど女性は弱くない。いまに犯人が突き止められて、全国に顔と氏名を晒すことになることでしょう。
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男女左右関係なく、愚行には「NO」を
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