英語の「Yes」と日本語の「はい」は同じとは限らない。“ダイバーシティしぐさ”の心得とは

翻訳本や外国のウソ検知研究を鵜呑みにしてはいけない理由

Interviewer(質問者): Do you like snakes?(ヘビは好きですか?) Interviewee(回答者): No, I don’t.(いいえ、嫌いです。) Interviewer(質問者): Don’t you like snakes?(ヘビは嫌いですか?) Interviewee回答者) : No, I don’t.(はい、嫌いです。) Interviewer(質問者): Don’t you like snakes, do you?(ヘビが嫌いなのですね?) Interviewee(回答者): No, I don’t.(はい、嫌いです。)  いかがでしょうか。英語は日本語と異なり、肯定・否定の意味が明瞭であることがわかると思います。  もし、日本語で頷きの微動作をウソのサインとして用いるには、肯定形で質問する必要があります。例えば、  質問者:あなたはその事実を知っていましたか?  回答者:いいえ、知りませんでした。  回答者が「いいえ」と言いながら、頷きの微動作を見せたら要注意ということになります。  ただ、私たち日本人は、直接的な質問が相手の気分を害する恐れがあることを知っているため、ズバッと直接質問することを避け、間接的に質問する傾向にあります。記者会見などでよく聞かれるのは次のような言い回しです。  質問者:あなたはその事実を知らなかったのですか?  回答者:はい、知りませんでした。  こうなると「はい」と頷きは言動一致となるため、ウソのサインとしては使えなくなってしまいます。翻訳本や海外の研究知見を基にした記事を読み解く上ではこうした日本語特有の事情を配慮したものでない限り、書かれている知見をそのまま使うことはオススメしません。  以上のようにウソのサインの正しい解釈の一例を解説しましたが、一点、注意を喚起したいと思います。  それは、ウソを見抜くということは一つのサインだけを頼りにかつ断定的に行えるわけではないため、実用性を高めるには相当のトレーニングとウソ科学に関する知識が必要だということです。
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「首傾げ」に気付き、ミス・コミュニケーションを防止しよう
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