消費税増税で生活保護以下の”見えない貧困家族”が増加する

 ’19年10月の消費税増税は、新たな下流社会の幕明け―。賃金が一向に上がらないままでの増税は、消費が確実に低迷し、企業の収益や税収が悪化、賃金はより下降して、本格的な“デフレ”の再来が懸念されている。さらに外国人受け入れ問題、急速に活用が進むAI(人工知能)など、誰もが当事者たり得る“下流転落の火種”が忍び寄る。僕らの未来にあるのは希望か絶望か。

生活保護以下、“見えない貧困家族”の増加

生活保護と同等の年収は355万円

《生活保護と同等の年収は355万円》生活保護側の年間受給額は、大都市で生活することを中心にした一番基準の高い1級地制度で算出。近い年収のサラリーマンには衝撃だ(同じ家族構成、生活保護の受給地域が「1級地-1」の場合で計算)

 生活保護の受給額の基準は、ドラマのタイトルでも話題になった「健康で文化的な最低限度の生活」になっている。これは日本国民が、最底辺ながら暮らせる金額のことだ。しかし、今後の増税などを機に、「この受給額を下回る世帯が急増するのでは」と『下流予備軍』の著者で会計士の森井じゅん氏は分析する。 「生活保護を東京23区で夫婦と小学生1人が受給する場合、1年間で280万円が支給されます。これと同額の手取りを得るために必要な額面年収を逆算すると、約50万円の社会保険料と約25万円の所得税・住民税が引かれる前の355万円が必要になる。つまり、同年収の世帯は、すでに生活保護受給世帯と変わらない生活水準となっているのです。一人暮らしの場合は、年収200万円がそのライン。この水準に今回の増税やそれに起因する不景気で、生活保護以下の“見えない貧困層”が増えるのではないでしょうか」  いわば庶民の生活水準は、生活保護とさほど大差がないのだ。 「しかも生活保護の方たちは医療費の本人負担がなかったり、自治体によっては水道代の免除やその他の補助も多い。実質、280万円を超える可処分所得と同等になります」  もはや中流の人々にとっては働き損とすら思えてくるが、森井氏は「こういう国の失敗による鬱憤が、生活保護受給費の引き下げに繋がった」とも指摘する。 「働いている人たちの『自分も苦しいのにズルい』『最低賃金より生活保護のほうが高い』という生活保護バッシングが、今回の引き下げに繋がりました。庶民は一時的に溜飲を下げていますが、実際に問題があるのは生活保護より低い年金や最低賃金のはず。今後さらに賃下げが起こり、また生活保護を下げて……なんて足の引っ張り合いで、国全体が貧しくなることも十分ありえます」  国民の大半が、生活保護並みで暮らす未来が、もう迫っている。 【森井じゅん氏】 公認会計士・税理士。お金にまつわる国家資格を多数取得し、税務申告や企業コンサルも務める。’17年に初の著書『下流予備軍』(イースト新書)を出版 ― 新型[下流社会]の衝撃 ―
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