虐待されていた4頭の宮古馬がついに救出。しかし、いまだ楽観視はできず

「市とS氏との間(で決まっている)話」と、リゾートホテル側は困惑!?

オーシャンリンクス宮古島

オーシャンリンクス宮古島は、ホテルに泊まってゴルフ場やマリンスポーツなどを楽しめる、人気の複合リゾート

 この情報を受け取った「国連生物多様性の10年市民ネットワーク」代表の坂田昌子氏は、オーシャンリンクスに問い合わせた。 「オーシャンリンクスとしては土地を持っているので、『種付けができなくなった高齢の馬の、余生の場所を提供する』といったつもりで考えていたそうです。『観光に利用しようという考えはない』とのこと。 『ただ馬については素人なので、馬だけポンと渡されても困る。引き取るならば経験と知識がある飼養者の確保、飼育施設の準備、獣医との連携が必要』と言っていました。そもそも天然記念物なので、窓口はあくまで教育委員会。S氏個人との間には、そういう約束はないとのことでした」(坂田氏)  坂田氏が驚いたのは、市の対応だったという。 「市が一時的に引き取ったN氏の3頭について、市の担当者からオーシャンリンクスに『何頭なら引き取れるか?』と問い合わせが来たというんです。オーシャンリンクス側としては、そんなことを言われても受け入れる施設も何もまだないので、困るわけです。  飼養者説明会で『宮古馬を守っていこう、虐待のイメージを払拭していこう』と言っていたのに、相手側の飼養者としての適性や環境についての検討・配慮もなく、たらい回しのようなことをしようとするとは、あきれるばかりです。  S氏を飼育者として雇い入れる件については、オーシャンリンクスとS氏との問題ではなく『市とS氏の間の話』でそうなっているのでは……ということでした。今まさに虐待で問題になっている人物を、飼養者として雇い入れるなんてことが、あっていいはずがありません」(同)  この件については、年末年始休暇のため市の担当者の確認はまだとれていない。取材班としては、今後もその真相を追及していく予定だ。

N氏の馬房から救い出された3頭の行方も楽観視はできない

2018年11月

N氏の馬房には、まだ糞尿まみれでつながれたままの牛馬が(2018年11月)

 市の担当者はなぜ、ここまでS氏を優遇するのだろうか?  虐待した当事者の言い分を鵜呑みにし、それどころかさらに補助金まで与えようとしている。さらには、また馬にかかわる新たな仕事まで与えようというのだろうか……? 糞尿まみれだったN氏の馬房から移された3頭も、一時的に場所を移されたにすぎない。まだ楽観視はできない状況だ。  また、N氏の厩舎で糞尿まみれのままつながれっ放しになっている、宮古馬以外の牛馬の問題もまだ全く解決していない。  飼養者説明会では、これまで宮古馬の保全に奮闘してきたという人が「馬のおかげで、石ころだらけだった島がこんなに豊かになった」と発言していた。飼養者からも「馬とずっといっしょに暮らしてきて、馬への想いはある」という声が上がった。  市は、本来であれば人と馬が共生していく方法を模索するべきだろう。農耕馬としての馬の役割は終わっているが、ホースセラピーや環境教育など、大人しい宮古馬が活躍できる場はたくさんあるはずだ。 <取材・文/『週刊SPA!』宮古馬取材班>
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