鈴木亮氏
とはいえ、会社員などの本業を持ちながらのアルバイトは学生時代とは違って悲壮感が拭えない。せめて、腐らないようにするにはどうしたらいいのか。
「どうせやるのであれば、お金以外の第二の目的があるといい」
1万5000人以上のアルバイトスタッフをマネジメントするグッドウェーブ常務取締役の鈴木亮氏は、こうアドバイスする。鈴木氏自身、30歳まで兼業どころか完全なフリーターだった。
「今の会社は、チラシ配りなどの地味な仕事ぶりが認められて社員登用されたんです。するとバイト時代に付き合いがあったクライアントや制作会社から『営業に来なよ』と言われ、取引先にもなりました。このように、バイトでもしっかり仕事をしていればいい転職など次の展開に繋がる可能性もなくはありません。今なら売り手市場なので、何かしら意義を感じられるバイト先を見つけやすいはず。現場で学生アルバイトから学べることもいまだに多いですし、工事現場でのバイト経験は新店舗オープン工事にいまだに役立ちますしね」
そうは言っても、副業アルバイトをせざるを得ない状況自体が心理的圧迫となっているのだが……。
「中年が成長するためには、ある程度の痛みや辛さが必要だと思うのです。お金のためにバイトを決心したということは、行動力がある証拠。プライドが高い人はまずできませんよ。目的を見いだせないなら、やめてしまっても構わないと思いますが、悪いことばかりではないと思います」
表向きは悲惨でしかない中年会社員のバイトも、考え方ひとつで学びと成長の機会になる!?
【鈴木亮氏】
グッドウェーブ常務取締役。自身が30歳までフリーターだった経験を生かし、1万5000人以上のアルバイトの指導や管理を行う。20代の若者の社会人育成、非正規雇用者の雇用促進活動も行っている
― [中年会社員のバイト]残酷物語 ―