水道民営化をすれば水道代が安くなるという幻想

自治体が「選べる」から大丈夫?

 今回の水道民営化は、確かにコンセッション方式を「選べる」という話なので、自治体が拒否したら水道民営化にはなりません。しかし、「だから大丈夫だ」という話にはなりません。  ほぼ100%と言っていいほど地獄を見ることが明らかなのが水道民営化なのです。これは「室内にガスを充満させても火をつけなければいいだけだから大丈夫」と言っているに過ぎません。本当に望ましいことは室内にガスを充満させないことなので、そもそもガスを充満させなければ爆発は起こりません。火をつけたらアウトというところまで持っていくこと自体がナンセンスなので、水道民営化法案なんて通さない方がいいに決まっているのです。しかも、水道を民営化したい企業はアイディアを持っているわけではなく、商売させてもらいたいだけです。商売させてもらうためにいろいろなプレゼンをするでしょうけど、それでみんなが幸せになるかと言ったら幸せになんかならないのです。  だいたいマイナンバーカードを作る時だって「情報漏洩が起こるから危険だ」と言っていた人たちはたくさんいましたが、「情報漏洩は絶対に起こらない」と言いながら、作業が忙しいから別の下請け会社に振ってしまう例が多発。その中には中国の企業もあって、ファーフェイが問題になっている以上にヤバい事態を自分たちの手で作り出しており、握られてはいけない個人情報がとっくの昔に中国に流出した可能性もあるのです。こんなにバカなんですから、水道民営化でハッピーになるはずがありません。そもそも守らなければならないものを民間企業に委託すること自体が極めて愚かな行為なのです。

「民間企業に任せれば解決」って話ではない

 行政に任せていて水道代の格差が是正できるかと聞かれたら、都会と田舎では水道代にかかるコストが全然違うし、水道の水を引っ張ってくるための川が近いかどうかによってもコストが変わってくるので、そもそも全国の水道代を一律にするというのは非常に難しいでしょう。  しかし、これは民間企業に任せたからといって解決するものではありません。  民間企業に任せて水道代が高くなり、北海道夕張市のような水道料金の高い地域との格差はなくせるかもしれませんが、これではまったく意味がありません。本当なら水道料金の高い地域を低い地域に合わせることで格差を解消しなければならないのに、高い所に合わせるぐらいだったら下手に民営化しないで水道料金を安いままに据え置いた方がよっぽど生活しやすくなるからです。それに、水道料金の地域格差をなくすために水道を民営化するのではなく、水道事業を担う人たちも利益を得るのが目的なわけで、そのために彼らを儲けさせるために民営化することが目的なので、何をどう考えても水道料金が安くなることは絶対にないのです。
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民間企業は「利益」を得るのが目的
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