大手広告代理店や芸能事務所がボクサーをマネジメントするようになり、海外も注目するようになったのは一番の変化だという。
「理由の一つは、村田君や井上君のような、“リアルに強い”ボクサーがたくさん出てきたこと。井上君が参加している『ワールドボクシングスーパーシリーズ』の賞金は10億円を越えていますから。あとは、大晦日のボクシングが一般に定着してきたのも大きい。もはや年末の風物詩になり、アメリカの『FOXTV』の関係者も、『日本の大晦日のボクシングがビッグビジネスになる』と言うほどです」
総合格闘技イベント「RIZIN」ではメイウェザー対那須川天心の対戦など、一昔前では考えられなかったようなビックマッチの話も上がった。
メイウェザー対那須川天心 写真:時事通信社
視聴環境の多様化も大きなポイントであると飯田氏は指摘する。
「昔のチャンピオンは強ければ、お客が見に来てくれた。ただ、今はそういう時代じゃない。村田君の世界戦の放映権を、従来のフジテレビではなく、ネット放送の『DAZN』が持ったのも新しいです」
アメリカのネット格闘技番組が人気選手の試合のPPV(ペイ・パー・ビュー)で利益を上げているように、「この選手の試合なら見たい」というニーズが生まれた。稼げるボクサーとそうでないボクサーの二極化が進んでいる。
「だからこそ、SNSを使い、自身をブランディングする選手も増えてきた。実力にプラスαがあるボクサーに注目が集まり、お金も動くように変わってきています」
来年以降も格闘技界には好景気が続くのか。
「村田君も再起するでしょうし、何より次戦が大切です。井上、井岡、田中、伊藤らが揃う現在の黄金世代の今後の活躍次第でしょう」
飯田覚士氏
【飯田覚士氏】
’69年生まれ。第9代WBA世界スーパーフライ級チャンピオン、(財)日本コアコンディショニング協会理事。「ボクシング塾ボックスファイ」を運営
― SPA! BUSINESS JOURNAL ―