ロリータ東大生の“モチベーションを高める”時間管理術

 ロリータファッションに身を包んだ東大大学院生・大石蘭さんが描いたコミックエッセイ『妄想娘、東大をめざす』がジワジワと注目されている。一見、サラリーマンには関係ないように思える同書だが、読んでみると意外に共感できたり、参考になったり、熱くなったりするところも。先入観を取っ払って、一度手に取ってみてはどうだろう。今回はインタビュー【中編】をお届けする。 ⇒【前編】「偏差値48から東大に合格したロリータ娘の管理術」
大石蘭

大石蘭さん

――目標を設定して、そのための予定を立て、スケジュール通りに進めていくのが得意なんですね。ビジネスパーソンのためのライフハックにも通じる印象です。 大石:結果的にはそう映るのかもしれませんが、私の感覚としては「効率よく物事をこなすのが苦手だから、何とかしなきゃ」とアレコレ対策を考えているうちに、気が付いたらこうなっていた、という感じです。もっと言うと、予定が立たないことがすごくストレスになるんですよね。直前まで予定が見えないと、本当に不安になります。 ――でも、予定通りにいかないこともありますよね? 自分だけでなく、他の人の都合も絡んできますし。 大石:はい。だから、スケジュール偏重になるのもいけないとは考えています。他の人の都合も、もちろん理解しているつもりです。あくまでも自分ひとりでやることに関してはできるだけ誠実に、スケジュール通りにこなして、他の人の迷惑にならないようにしよう、みたいな意識でいますね。  でも、ある予定が入るか入らないかで、1日の行動って変わってくるもの。「今日は13時に新宿で打ち合わせがあるから、その前に書店であの本を探してみよう」「終わったら、あれを食べよう」とか、いろいろ考えられるじゃないですか。 ――わかります。本書にも出てきますが、ムチの合間にアメを用意しておくことで自分のモチベーションを高める、みたいなことにも繋がってきますね。 大石:そうそう、そうなんですよ! それに、自分が原因で予定通り進まないことだってありますから。疲れて寝てしまい、思うように仕事が進まなかったとか。だから、2~3日先くらいの予定はできるだけちゃんと立てておくけど、1週間くらいのスパンでは、こなせなかった仕事を片付けたり、睡眠時間とかにあてられる、緩衝材としての時間を用意して、帳尻合わせができるよう心がけています。目先のスケジュールはストイックに、近未来の予定はゆるめに立てておくと、無理がないんじゃないかな。 ――上手な時間管理ですね。これも、東大受験を通じて身につけたことですか? 大石:そうですね。「あれもやらなきゃ」「これも片付けなきゃ」とタスクに追われるような感覚に陥ってしまうと、ろくなことになりません。「どうしよう……今日、こんなにやらなきゃいけないことが残ってる。もう終わらないよ~」とパニックになったり。それでも別にいいんですよ。1週間とか10日のスパンで帳尻合わせできれば。  あとは、自分にご褒美を用意して、自分を誤魔化しながらやるのもいいですね。「ここまでやったらケーキを食べよう」「これが終わったら、ちょっとだけお買い物に出かけちゃおう」とか、ささやかなご褒美を小出しに用意しておく。そうして、道のりを細かく区切りながら進むようにするのは、かなり効果的ですね。ご褒美はできれば、あまり引きずらなくて、スパッと切り替えができるような、楽しいこと、心地よいことがおすすめ。私なら甘いモノを食べたり、音楽を聴いたり、お風呂に入ったりでしょうか。  あと、私が最近やっているのは、大好きな東京事変や椎名林檎さんのライブDVDを後ろで流しつつ、「このDVDが終わるまでにココまでは終わらせよう」みたいな進め方。制限時間が設定されると集中できますし、好きな音楽に後押しされながらだとより頑張れる気がしますね。 ⇒【後編】「妄想は大きな原動力になる!」に続く <取材・文/漆原直行> 【大石蘭】 1990年福岡県生まれ。東京大学教養学部卒。現在、東京大学大学院修士過程(比較文学比較文化を専攻)在学中。雑誌『Spoon.』に掲載された自伝的短編「そんなお洋服ばっかり着ていると、バカに見えるよ」が注目を集め、同誌や『PHP Special』『mille』などでエッセイ、イラスト、コラム、レビューを執筆するように。2014年3月、初めての著書となる『妄想娘、東大をめざす』を上梓。少女文化と原宿、スイーツをこよなく愛する。憧れの女性は椎名林檎、蜷川実花、よしもとばなな。いつか彼女たちに逢いたいと妄想しつつ奮闘中。
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