宇宙空間に向けてロケットで飛行するスペースシップツーの2号機「VSSユニティ」 (C) Virgin Galactic/MarsScientific.com & Trumbull Stadios
宇宙旅行の実現を目指す米国企業「ヴァージン・ギャラクティック」は2018年12月14日(日本時間)、開発中の宇宙船「スペースシップツー」による初の宇宙飛行に成功した。
地球を回る軌道には乗らない「サブオービタル飛行」と呼ばれる形態ではあるものの、宇宙旅行が実現する日が、いよいよ近づいてきた。
ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)は、2004年に設立された、リチャード・ブランソン氏率いる英国のヴァージン・グループ傘下の企業である。
同社が開発している宇宙船スペースシップツー(SpaceShipTwo)は、飛行機のような形をした宇宙船で、パイロット2人を含む8人乗り。特殊な飛行機で上空約5万ft(約15km)まで運ばれて分離され、そこから搭載しているロケット・モーターを噴射し、宇宙空間まで駆け上がる。
人工衛星や宇宙ステーションのように、地球を回る軌道には乗らないため、宇宙に滞在できるのは数分間のみである。それでも、窓から青い地球や黒い宇宙空間を眺めることができ、また船内は微小重力(いわゆる無重力)状態になるため、宇宙旅行の感覚を味わうには十分である。
こうした宇宙飛行のことを「サブオービタル飛行」といい、軌道に乗る宇宙飛行より技術的に簡単なため、そのぶんコストも安く、安全性も高い。また、旅行者は3日間の訓練だけで搭乗することができ、従来の宇宙飛行士のような厳しい訓練は必要ない。
チケットの金額は約25万ドル(約2800万円)と高価だが、これまでに俳優やスポーツ選手など、数百人以上の申し込みがあるとされる。また、一般人でも手を伸ばせば届かない金額ではないため、サラリーマンなどからの申し込みもあるという。日本では旅行会社のクラブツーリズムが代理店となっており、実際に日本からの申込者も多い。
宇宙から帰還したVSSユニティ (C) Virgin Galactic