緊縮化する愛人市場。キャッシュを欲しがる愛人側、渋る富裕男性。双方の世知辛い事情<現役愛人が説く経済学62>

愛とお金

Yury Kisialiou / PIXTA(ピクスタ)

 こんにちは、東條才子と申します。金融系OLのかたわら、愛人業をビジネスとして展開しております。さて前回は、「愛人を持つ富裕層男性が、実は「ドM」である理由」と題しまして、巨額の資金を愛人につぎ込むお金持ちに「ドM」が多いことを解説いたしました。  超のつくお金持ちは、外では社員や取引先に対し、堂々と振る舞う必要があります。だからこそ、ウチでは女性に甘えたいのです。その「甘えたい」ニーズを察知できるドSな女性が、愛人として成功しやすいというお話でした。実際、大金持ちの愛人ほど「私の思う通りにならないなら、あなたとはいつでも別れるわ」という、ドSタイプが多いのです。  ところが最近は、そんな百戦錬磨のドS女性でも、愛人ビジネスをスケールさせることが難しくなっているようです。理由は明確。そもそも、バブル期にいたような「お金を持て余している富裕層」が激減しているからです。正確には「富裕層が減った」というより、「愛人に気前よくお金を使う富裕層が減った」ということかもしれません。  年上の愛人女性とお話しておりますと、「昔は車や不動産を買ってもらうのが当たり前だった」とか、「不動産に加えて、100~300万円くらいの小遣いをもらって生活していた」とおっしゃる方が多いんですね。本当かどうかは別にして、2008年のリーマンショックまでは、そういうお話が「よくあること」として流布していたわけでございます。  華やかな銀座のママや熟練ホステスさんたちに聞けば、「昔のお金持ち」の豪快な愛人エピソードは山ほど出てきます。彼女たちによると、昔は「お金持ちが女性に対し、ポンと100万単位の現金を渡すのは当たり前だった」そうです。  ITバブルで儲けた起業家が六本木で豪遊し、ホステス1人あたり50万円ずつあげていたとか、これは男性サイドのお話ですが、愛人と別れる際に、一生面倒を見てやれなかったお詫びに3億円プレゼントしたなんてお話も耳にします。  とにかく、昔のお金持ちは豪快でした。惚れた女を口説きたいがために、見返りを求めることなく「札束で口説く」方が沢山いたのです。それが良かったかどうかは別にして、女性からすれば、愛人ビジネスがスケールしやすい環境だったのは確かです。  しかしリーマンショックで、状況は変わりました。どんなに盤石な会社でも、グローバルな経済不況の波からは逃れられないことが分かったからです。国内ビジネスが堅調でも、海外の株価が下がればダメージを受ける。富裕層も庶民と同じように、財布の紐を固くし始めました。
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「キャッシュ」の流通量が減っている
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