緊縮化する愛人市場。キャッシュを欲しがる愛人側、渋る富裕男性。双方の世知辛い事情<現役愛人が説く経済学62>

愛人にあげるキャッシュが減っている

 もうバブル期のように、「いつまでも株価が上がり続ける」という期待はできません。「土地ころがし」で儲けることもできません。大企業は内部留保を貯め込むようになり、金払いが悪くなりましたので、それとお取引する中小企業の社長は、さらにシビアになりました。地道に築いた資産を愛人ごときにポンポンあげていてはキャッシュがなくなってしまう、と慎重になる方が増えたのでございます。  現代のまじめな富裕層は、基本的に現金を使いたがりません。使途不明金を出したくないので、何でもかんでも「経費」にしようとします。旅行の交通費やホテル代、高級レストランやブランド品の類は経費にできる場合がありますが、愛人へのお小遣いはそうもいきませんから。  彼らは、「君に物を買ってあげるのはいいけど、現金はちょっと……」と、金を出し渋ります。バブル期のお金持ちが、愛人に札束をばらまいていたのとは対照的です。  昨今、多くの愛人女性は、この点で非常に苦労しております。かつての派手な女性たちと違って、今の20代はブランド物を好みませんからね。「PRADAのバッグなんていらないから、その分、現金をくれ。マジメに貯金したい」と思う女性が増えています。それなのに、リーマンショック以後のお金持ちは現金を出し渋り、女性には経費になるモノやサービスを提供しようとします。彼らは愛人に対して、コストパフォーマンスを求めているのです。  昔ほど現金を出したがらない富裕層と、現金をますます欲しがる現代女性。彼らがマッチングするのは、以前より確実に難しくなっているといえるでしょう。私もできることなら、バブル期に愛人生活を送りたかったと思います。 (文・東條才子)
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