JR赤羽駅の“無人キオスク”は、飲料やパン、菓子など約140種類の品揃え。交通系ICカードで決済する。JRは無人化でキオスクの再生を目指すという
アマゾンが仕掛けた無人店舗が日本でも増殖する“理由”とは
米国では無人レジ店舗「Amazon Go」が話題を集め、キャッシュレス先進国・中国では無人コンビニが増加中。日本では、ローソンが無人レジの実証実験を行い、JR赤羽駅には“無人キオスク”が登場した。
無人店舗化が加速する背景を、モバイル決済ジャーナリストの鈴木淳也氏はこう説明する。
「コスト面と技術面で、商用化のニーズに追いついたのが大きい。ただ、小売業の業務フローは過去数十年、変化しておらず、商品管理が電子化されたり、現金以外の決済が可能になったことを除けば、人に依存する部分が大きいままです。日本は労働人口減少への対策が喫緊のテーマでもあり、効率化や業務改善のために手を付ける余地が多分にあることが認識され、無人店舗化に弾みがついたのです。一方、米国も労働人口の4割が小売業関連に従事しているといわれ、需給バランスが崩れたときを見越した動きなのでしょう」
人手不足対策になるのはいいが、店員がいなければ万引きが増えそうな気も……。ハードルは高くないのか?
「問題は2つです。1つは法的・セキュリティ的なハードル。万引きもこれに含まれます。そして、もう1つは新技術や新サービスに客が適応できるか。誰しも慣れ親しんだスタイルを脱するのは難しいもの。無人レジの実証実験では、多忙で精算を早く済ませたい客が多いビジネス街では高評価だったが、住宅街では芳しくなかった……。ただ、将来的には、低コストでないと維持できないような過疎地域でこそ、無人店舗が活用されるべきと考えます」
無人店舗化は、単に人手不足を解消するための手段ではないのだ。
取材・文/斎藤武宏