米国を切って、中国との「同盟」に鞍替えするパナマ

米国より中国を選んだその先には?

 現在のバレラ大統領には、米国との関係維持よりも中国との関係拡大により関心があるようである。  そんな中、皮肉にも、パナマの前大統領リカルド・マルティネリが6月11日に米国からパナマに送還されている。バレラ大統領の要請を米国が受け入れての送還であった。  マルティネリは2015年1月にパナマを離れ米国に在住していたが、公金横領、脱税、スパイ活動の容疑で2017年9月にパナマ政府から米国に彼の身柄の送還要請を受けて逮捕され、マイアミの刑務所に収監されていた。  その間、マルティネリは米国での亡命を申請していたが却下された。彼は米国で逮捕された時から、これらの容疑は現大統領バレラの復讐によるものだと指摘していた。復讐の最終目的はマルティネリをパナマの政界から完全に失脚させることであるという。  両者の確執はマルティネリが大統領だった時に、バレラが副大統領と首相の重責を充分に担っていないとして、前者は後者に「野党に戻ればよい」といって解任したのである。これが両者の亀裂の発端であった。実は、マルティネリはCIAの協力者だったのである。それをマイアミで収監中に書面でもって告白した。即ち、彼が大統領として存続していれば中国との国交樹立はまだ行われていなかったであろう。  しかし、時の流れは南米そして中米と、中国の影響力がこれからさらに拡大して行く方向に向かっているようである。 <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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