一体誰得なのか
「聖闘士星矢」(以下、「星矢」)TVシリーズが3Dアニメとしてリメイクされ、2019年夏にNetflixで配信されると報じられた。
だが、男性主要キャラである「アンドロメダ瞬」の性別が女性になっていることで衝撃が走っている。
脚本を担当したEugene Son氏は、自身のツイッター(※削除済み)にて理由をこのように述べた。
「男女平等の現代において、全員男性のチームにすることは良くも悪くも、視聴者が何らかの声明であると解釈する可能性がある」(意訳)
これに対し、「むしろジェンダーレスに逆行している」「作品を理解していない」と批判が殺到。女性的なキャラクターをそのまま女性化する、女性が足りないからとりあえず配置するという場当たり的な措置が作品や女性を愚弄していると、ファンの中で不満が広がった。
一方、原作者の車田正美氏は過去、「星矢」についてこのような見解を述べている。
「車田作品もメディアミックスと関連するようになってから久しいが、それでも時折『原作とちがう』という意見を耳にすることがある。
たしかに各メディアにおいて漫画家やプロデューサー、それぞれの担当者などの思い入れで、内容的にも大きく変わることもあるだろう。
しかし、何より彼らは車田作品を子供の頃に愛読して育った世代だ。作品に対する情熱は、誰にも負けないと自負している。だからこちらも安心して『わが子同然』の原作を託せるのだ。
もはや、車田作品がひとつのブランドというのであれば、のれん分けした作品が、原作者の手をはなれてどんどん遠いところへ行ってしまうのも仕方のないことなのかもしれない。
ただ、ファンのみんながこれからも色ンなテイストの車田作品を楽しんでくれればそれでいいのだ」
そうした寛大なはからいのもと、もはや「星矢」は公式に二次創作が許されたかのごとく、新たな解釈による派生作品が次々と生まれ、誕生から30年経った今もその勢いは止まることを知らない。
時に、九谷焼の皿やボクサーパンツ、入浴剤などの“珍グッズ”まで登場しネタと化す光景も見られるようになった。
また派生作品において、男性キャラクターが女性化されたのはこれが初めてではない。
2014年にCG映画としてリメイクされた「Legend of sanctuary」では、聖闘士の中で最上位である黄金聖闘士の一人、蠍座のミロが赤毛の美しい女性キャラクターに改変されていた。
元のキャラクターは筋骨隆々とした美丈夫で、その面影は微塵もない。一度は動揺が広がったが、意外性があったのと、作品の大筋に影響がない範囲での改変だったせいか受け入れられた。
そんな中、今回のアンドロメダ瞬の女性化はなぜ、許されなかったのか。車田氏ももちろん承知しているはずだが、ファンの怒りは収まっていない。
アンチテーゼとしてアンドロメダ瞬の兄、フェニックス一輝を女性化した「#一輝姉さん」のタグが出回る始末だ。