G20期間中に行われたBRICs首脳会談で、中露印が対トランプで結束をより強固に

photo by kremlin.ru (CC BY 4.0)

 11月末にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催されたG20首脳会議のタイミングに合わせて、BRICS加盟国のブラジルを除く3か国、ロシア・インド・中国(RIC)の首脳会談が行われたことは注目に値する出来事だった。  この3か国による影響力は米国に対抗し、それを凌ぐ力になるからである。  この会談はプーチン大統領がイニシアティブを取って、それにモディ首相と習国家主席が応じたものだ。  3か国が協力そして連携して世界の安全と発展が脅かされていることへの対応に取り組むことが確認されたという。世界的レベルで脅威のカギになっていることを自由にそしてオープンに協議して取り組む良い機会だとして、3者の中でも特にモディ首相がその必要性をより強調したという。モディによれば、共通の定則に基づいた世界の秩序が一方的、あるいは国家の枠を超えた複数のグループによって拒否されるケースが次第に増えているということ。それを国連の権限の枠外で制裁が科されることに見ることができる。しかも、その制裁が保護主義に基づいたもので、それが次第に力をつけて来ているという。  モディの指摘は当然のことながら米国の現在の政治を揶揄したものである。その意味でも、今回の3者の会談は、<RICが協力してメカニズムを構築して正しい国際秩序を導く為に、多面的な外交が欠かすことのできない要素である>とロシアは考えているという。それが理由で、プーチン大統領が今回イニシアティブを取ってこれから3者の会談を行う頻度を増やしたいとしたのである。

モディ以降、米に接近していたインドだが

 モディ首相が登場してからのインドは、それまでの旧ソ連そしてロシアとの強い絆で結ばれた外交とは別に、自国の利益を最優先する独立した外交を取り始めた。その外交の一貫として、インドはオバマ前大統領の政権下の米国との関係の強化も開始した。その具体化が米国からの武器の購入及びそのテクノロジーの共同開発、航空母艦と戦闘機のエンジンとデザイン開発と生産などの合意に達したのであった。それは同時に、ロシアから武器を積極的に購入し始めている中国を牽制する意味もあった。  ところが、米国にトランプが大統領として登場すると事態は一変するのである。それがまたロシアとの関係の見直しに繋がったのである。そのインパクトある具体化が、ロシアからミサイルシステムS-400の購入である。  更に、トランプ大統領の米国が中国への敵対意識を強調すればするほど、アジアでの安全も脅かされることになると受け止めたモディ首相はBRICSのパートナー中国への接近をより強化する方向に始動を開始したのである。  結果、今年4月からモディ首相は習首席とは3回会談をもったということでもそれを見ることができる。  チベットの領土問題、さらに中国がインドのライバルであるパキスタンを支援しているということから両国の関係には一定の距離が置かれているが、関係の円滑化が進んでいるのだ。  この2か国の間のバランスを取ることができるのがロシアである。そこからRICの今後の世界における影響力の拡大が期待されるのである。
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親米極右ボルソナロの大統領就任でブラジルの行方は?
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