誘導部分の具体的な話法は、次のとおりだ。まずは、気軽に、さまざまな誘導話法を使ってみることをお勧めする。人はそれぞれ、使いやすい話法がある。つかいにくい話法を、一生懸命無理に繰り出そうとしても、効果が上がらないことになりがちだ。そのため、使いやすいものから、自然と慣れ親しんでいくことが一番だ。
使い慣れてきたら、相手と自分の考え方の乖離度合に応じて使いわけていけば、なお効果が出るはず。7つの誘導話法は、以下の表の下にいけばいくほど、誘導幅が大きくなる。従って、相手と自分の考え方の乖離が大きければ大きいほど、誘導幅が小さい誘導話法を繰り出していくことがお勧めだ。
たとえば、「同意+質問」をしたうえで、「同意+例示」、「同意+示唆」を繰り出すなど、以下の7つの誘導話法のいくつかを、上から順に使っていきながら、段階的に誘導していく。
また、相手と自分との間の関係性によっても、使いわけができる。初対面だったり、相手と親しくなかったりするなど、相手との関係性が遠ければ、誘導幅の小さい話法を用いることがお勧めだ。相手との関係性が近ければ、リカバリーする余地は大きいと言えるので、誘導幅が大きい話法を使いやすい。
リーダーシップは、部下を持って初めて必要になるスキルではない。上司や同僚、顧客、家族を巻き込む、さまざま場面で必要になる。何をどうすればよいか、必要なスキルを分解してみてほしい。実はひとつひとつのスキルは、難しいものではないのだ。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第113回】
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『
クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある