スペイン・アンダルシア自治州議選で極右が初議席。その背景と波乱が予想される今後

波乱が予想されるアンダルシア議会

 スサナ・ディアス州知事は一番多く議席を獲得したのであるから一番多く市民の支持を集めた社会労働党が政権を今後も担うべきだと主張している。しかし、ポデーモスと左派連合が一緒になった連合政党アデランテ・アンダルシアの17議席を足しても社会労働党は過半数に至らないのである。  その一方で、右派の国民党は33議席から7議席を失って26議席になったが、議席数が減ったことについての反省はなく、右派で最大議席を獲得したので中道右派のシウダダノスの21議席と極右のVox12議席を加えて59議席になり過半数に届くとして連合政権を組むことを主張している。勿論、州知事は国民党のリーダーフアン・マヌエル・モレノが就くべきだとしている。  Voxは国民党の極右が分かれて政党をつくったことから両者の連携はそれほどむずかしくはない。  問題はシウダダノスである。社会労働党との連立政権を解除させて前倒し選挙の要因をつくったのはシウダダノスであった。彼らは自党のリーダーフアン・マリンが州知事として政権を担うべきだと主張している。今回の選挙で9議席から12議席を増やして21議席となり、唯一既存の政党で議席を伸ばした政党だとして勢いづいている。  国民党との連携は視野に入れているが、この2党だけでは過半数に満たない。そのため、Voxの議席が欲しいところであるが、シウダダノスは欧州連合議会で自由民主同盟に加盟しており、同連盟は極右政党との連携は受け入れられないとしているのである。  ちなみに、フランスのマクロン大統領の政党もこの同盟に参加しているが、マクロンは国民戦線のマリーヌ・ルペンとは絶対に連携しないことを誓っている。そのため、シウダダノスもスペインの極右政党とは連携しないことを約束しているのである。  フランスの元首相でバルセロナ市長候補のマヌエルバルスはシウダダノスの選挙地盤を基本にしているが、シウダダノスがVoxと連携する可能性について、11月5日のテレビでのインタビューで「極右政党と連携することはない」と断言した。(参照:「El Pais」、「El Espanol」)  今後の政党間の交渉次第では再度選挙に踏み切る可能性もないとは言えず、引き続き注視する必要があるだろう。 <文/白石和幸 photo by Contando Estrelas via flickr(CC BY-SA 2.0) > しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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