「上」の不正で閉ざされる末端の叫び。元町工場経営者が思う、日本のものづくり業界の衰退

「上」の不正で町工場の技術と未来が閉ざされる

 日本のモノづくりの社会は「縦」の繋がりが強いため、他国のそれ以上に「製造ライン」が「運命共同“帯”」と化すことが多い。それゆえ、「上」の起こした不正や改ざんは、ブランド全体、はたまた日本の製造業界全体のイメージ低下や不信感の「連鎖」を起こし、「帯」末端で日本の真の技術力を支える町工場にも多大な影響を与える。つまり、大手企業のその場しのぎの対応では、日本の本当の技術力は廃れる一方なのだ。  日本の製造業界は、その存在感が薄まりつつあることに今一度、本気で危機感を持った方がいい。  この国の「モノづくり」を支える大きな技術は、今でも小さな工場の中にたくさん存在している。上が起こす一部の不正で、彼ら町工場の未来が閉ざされないことを、元技術屋として願わずにはいられない。 【橋本愛喜】 フリーライター。大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。日本語教育やセミナーを通じて得た60か国4,000人以上の外国人駐在員や留学生と交流をもつ。滞在していたニューヨークや韓国との文化的差異を元に執筆中。
フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。ブルーカラーの労働環境問題、ジェンダー、災害対策、文化差異などを中心に執筆。各メディア出演や全国での講演活動も行う。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書) Twitterは@AikiHashimoto
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