パチンコ店内ATMに警察庁担当者も苦言。引き出し額制限機能も依存症対策に逆効果
全国10000店舗程度あるパチンコ店のうち、約10%の店舗内にはATMが設置されている。
遊技客の利便性を図り設置されたものであるが、2007年の設置当時から少なからず批判の声が聞かれた。曰く、パチンコ店がより客にお金を使ってほしいがための愚策。曰く、客をよりパチンコの深みに嵌め、依存問題を増長させる。曰く、パチンコ店のモラルハザードである。
国会で、ギャンブル等依存症対策が議論される際、公営ギャンブルの関係省庁や、パチンコ業界の主管である警察庁が集まり、依存症対策の論点整理を行った際にも、このATMが槍玉に上がった。そして国会でのIR整備法(カジノ法)が成立し、ギャンブル等依存症対策が声高に叫ばれるなか、パチンコ店におけるATM問題が再び批判の的になっており、業界の対応が注目されている。
パチンコ店にあるATMは、大手IT企業インターネットイニシアティブの子会社である株式会社トラストネットワークスが、群馬県の東和銀行と協力し設置している。このATMは、パチンコ店での利用を想定し、一般的なATMにはない機能が付加されている。
その機能は、
1)引き出し上限額は、1日3万円、1カ月8万円
2)ローンやクレジット機能はなし
3)振り込み機能はなし
というもの。
特に1)の上限額については、パチンコ店に設置されているすべてのATMに情報が共有されており、例えばA店で2万円を引き出したら、同じ日にB店では1万円しか引き出すことは出来ない。
これらの機能は、パチンコに熱を上げた遊技客が、不必要に出金するものを未然に防止するものであって、パチンコ依存対策の一環で付加されている。
しかし一般的な観点から物申せば、遊技客の利便性を図るとはよく言ったもので、少しでも売上を伸ばしたい、パチンコ店側の思惑が露骨に透ける。遊技客にとって、パチンコ店内に設置されているATMは、「悪魔の囁き」に他ならない。
パチンコ業界を主管する警察庁も、この店内ATMについては苦言を呈している。
11月20日に開催された、業界団体のセミナーの場において、警察庁の担当官は、
「営業所内におけるATMの設置については、従前より、依存問題の観点から懸念が指摘されているところです。営業所内のATM、利用額の上限等が規制されているほか、ローンやクレジットカードの利用ができないものであると承知していますが、営業所内におけるATM設置の禁止やATMの撤去を求める指摘は、こうした利用制限が行われていることを踏まえた上でなされているものであり、営業所内におけるATMそのものについて世間から厳しい目で見られていると言えるのではないでしょうか」
と、制限機能が付加されていようがなかろうが、それが問題ではないとの強い口調で撤去を促している。
パチンコ店内のATMは、依存防止対策の「特別仕様」
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