高射幸性パチスロ機の撤去が延期に。業界内の「ねじれ現象」は何をもたらす?

パチスロメダルイメージ

よっしー / PIXTA(ピクスタ)

 政府のギャンブル等依存症対策に応じる形で、パチンコホールの団体である全日本遊技事業協同組合連合会(以下、全日遊連)が自主規制として独自に推進していた高射幸性パチスロ機の段階的撤去。しかし、それにストップを掛けた。  高射幸性パチスロ機とは、過去に2万枚以上(40万円相当)の出玉実績が認められるパチスロ機の事で、メーカー側が公表している遊技機の事である。「バジリスク絆」や「GODシリーズ」等がこの高射幸性パチスロ機にあたる。国会において、カジノやギャンブル等依存症対策が議論される中、全日遊連は、特に射幸性(≒ギャンブル性)の高い、これらのパチスロ機を段階的に撤去する事を決めた。  その内容は、ホールにおけるパチスロ総設置台数に対し、高射幸性パチスロ機の割合を、2018年1月末までに30%、2019年1月末までに15%、2020年1月末までに5%と段階的に減らし、2021年1月末までには、ホールから完全に撤去するというもの(ちなみに、2018年1月末の設置比率30%の目標は達成している)。  しかし全日遊連は、11月14日に開催された全国理事会において、設置比率15%の達成期限を無期延長すると決めた。  その理由は2つである。  一つは、高射幸性パチスロ機と入れ替えるべき新規則機(※平成30年2月1日に施行された新たな基準に沿ったパチスロ機=6号機)が、まだほとんど市場に出回っていないこと。新台が買えなければ、中古機で穴埋めするしかないのだが、その中古機が市場で高騰しているのが二つ目の理由だ。  まず新規則機である6号機の話をするのであれば、現在ホールには2機種しか設置されていない。おって設置される予定がある機種も5機種程度だと言われている。これほどまでに6号機の開発が遅れている背景には、ギャンブル等依存症対策の流れを汲み厳しくなった保通協(遊技機が法で定める規則の範囲内で設計されているのかを試験する機関)の検査基準がある。  出玉の上限が既存の3分の2にまで削られ、また短時間、中時間、長時間の出玉の上限下限の幅が極端に狭まった。可能な限り出玉を獲得できるスペックを設計しようとするメーカーと、それを厳しく制限する保通協検査とのギャップが容易に埋まらない。遊技機規則改正以降、パチスロメーカーが数百機種を保通協に持ち込んでいるが、ほとんどがその検査に落ちてしまうのだ。
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ホールの声は「正直、助かっている」
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