米トランプ大統領の言動で、今年後半の季節性には異変も
今年の日経平均の動き
株価の季節性は、あくまで経験則に基づくものです。今年うまくいったので来年もうまくいくと思っては、とんだしっぺ返しを受けるかもしれません。経済は生き物です。米国や中国経済の動向、金融政策の変更、保護貿易の台頭、イノベーション、経済要因以外でも自然災害の発生、地政学リスクなど、さまざまな要因で経済活動は影響を受けます。そのために株価の季節性が失われる場合も少なくありません。
今年の日経平均は「アメリカファースト」の米トランプ大統領の言動に大きく振り回されました。特に米中貿易戦争関連の言動で株価は大きく乱高下しました。振り返ると、1月から3月にかけて下落し、過去の季節性に沿った変動をしました。
しかし秋口に入ると9月下旬から10月初めにかけて騰勢を強め、10月2日には年初来高値、終値ベースで2万4270円まで上昇しました。それをピークに下落に転じ、季節的には上昇するはずの11月は22日現在、2万1646円と低迷しています。
12月の日経平均の動きが気になりますが、10月初めの最高値の更新は難しいように思います。2018年後半は、珍しく過去の季節性が当てはまらない年になるかもしれません。
だが、突発事件のない普通の年なら季節性が存在していることも確かなようです。株価の季節性を上手に使いこなし、有利な取引ができるかどうかはあなたの手腕にかかっているのです。
◆石橋叩きのネット株投資術 第21回
<文/三橋規宏>
みつはしただひろ●1940年生まれ。1964年慶応義塾大学経済学部卒、日本経済新聞社入社。ロンドン支局長、日経ビジネス編集長、科学技術部長、論説副主幹、千葉商科大学教授、同大学名誉教授、環境を考える経済人の会21事務局長等を歴任。主著は『
新・日本経済入門』(日本経済新聞出版社)、『
ゼミナール日本経済入門』(同)、『
環境経済入門』(日経文庫)、『
環境再生と日本経済』(岩波新書)、『
サッチャリズム』(中央公論社)、『
サステナビリティ経営』(講談社)など。