兜町関係者は熱視線。ゴーン会長逮捕で揺れる日産株は下げたら買いか?

Renault Group CEO Carlos Ghosn

写真・AP/アフロ

ゴーン会長逮捕で揺れる日産株は下げたら買い!

 11月19日に日産自動車のカルロス・ゴーン会長が逮捕されて以降、次々と新たな疑惑が浮上している。逮捕容疑は’10~’14年度の報酬額を50億円過少に記載した金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)だったが、その後、会社の資金を私的流用していた疑惑や直近3年間の報酬も“偽装”していた疑いが浮上。  19年間にわたって日産のトップに君臨してきたカリスマの評価は一夜にして地に落ちたのだ。全国紙社会部記者が話す。 「ゴーン氏の報酬は5年間で100億円ですが、株価連動型報酬の50億円分を記載しないように工作。一方で、日産からオランダの会社に60億円入れ、タックスヘイブンのバージン諸島にあるペーパーカンパニーを嚙ませてレバノンの高級住宅を買ったり、ブラジルの高級マンションを購入していました。このほか、業務実態がない実の姉にアドバイザー料として年間10万ドル払ったり、経費で家族旅行に行っていた疑惑も持ち上がっている。不正利用額だけでも100億円近いと言われており、特捜部は会社法の特別背任罪や業務横領罪での立件も視野に入れています」  こうした不正行為を指揮したとされているのは、ゴーン氏とともに逮捕された代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者。執行役員数人に指示して報酬の過少記載や海外子会社を通じた住宅購入を主導したとされている。そのため、「司法取引に応じた執行役員らは刑事処分を減免される見込みだが、組織的犯行と見なされ日産の法人としての責任が問われる可能性もある」(同記者)という。  おのずと騒動はマーケットにも飛び火。逮捕翌日の日産株は売り注文に押されて最大6%安となり、ゴーン氏がCEOを務める仏ルノーに至っては直近2年で最大の下落を記録した。が、急落はその日限り。むしろ、日産株はじわじわと値を戻しつつある。背景にあるのは圧倒的な割安感だという。証券関係者が話す。 「仮に法人の責任が問われても、同じく金商法違反で訴追されたオリンパスに科せられた罰金は7億円。米国で株主代表訴訟が起きたら1000億円単位の支払いが発生する可能性もありますが、日産の利益剰余金は5兆円もあるので影響は軽微。加えて、中間決算では通期で減益予想なのに1株あたりの年間配当を前期の53円から57円に増配することを発表しているため、配当利回りは6%近くに達している。短期的には買いの銘柄として注目を浴びています」
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日産株の不安要素は?
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