社員間の対立をスムーズに解消する2種類のリーダーシップとは

 部門同士や社員間で対立してしまった場合に、当事者同士で徹底討論することは、対立解消に役立たない。むしろ、角突き合わせない方法が対立解消に役立つことを前回の記事で紹介した。

決め手は2種類のリーダーシップの使いわけ

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 社内での対立を解消するには、角突き合わせない方法が有効である……。筆者が企業サポートやリーダーシップ向上プログラムで、そのスキルを演習すると、必ずといっていいほど、次のような反応を受ける。 「角突き合わせないというのは生ぬるい。しっかり正面から対峙してとことん議論すべきではないか」 「リーダーたるものトップダウンで相手を説得したり、対立解消できなければいけないのではないか」  どうやら、「トップダウンのリーダーシップ」を発揮しなければリーダーではないという固定観念があるように思えてならない。  何も「トップダウンのリーダーシップ」を否定するつもりはない。コンプライアンスを守る、製品の品質を維持する、安全管理を徹底する……。これらのように、答えがひとつの課題については、誰が何と言おうと、徹底していかなければならない。それらに反対するようであれば、対立解消はあきらめて、その組織から退場してもらえばよいだけだ。  しかし、ビジネス活動をしていくうえでは、答えがひとつではない課題は山ほどある。目標達成するためにどのような活動を展開するか、顧客満足度を向上のためにどのような手法を実施するか、プロセスを効率化するためにどのような改善をするか……。そんな課題については、答えはひとつではない。  上司であろうと部下であろうと、本社であろうと現場であろうと、それぞれの視点でさまざまな知恵や工夫のアイデアをもっているに違いない。そうした問題にまで、トップダウンで「この方法でやれ」と押しつけてしまっていないだろうか?  演習経験をふまえると、組織をまとめあげるスキルが高く、組織のパフォーマンスを上げているリーダーは、「トップダウンのリーダーシップ」と、「巻き込み型のリーダーシップ」の両方を発揮することができ、それらを使いわけている。
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リーダーシップの転換が対立解消の決め手
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