それでも今回は母屋、分家共に一人暮らしの状態が長く、放置されたままの部屋が多いということでハウスダストとの戦いがあった。
多くの債務者は精神状態の荒廃から最終的に対人関係でも孤立し、生活エリアが極めて狭くなる。もちろんこの流れは家庭内や物件内でも変わることはなく、結局生活の痕跡が感じられる空間というものはワンルーム程度の範囲になってしまう。
今回の債務者はセルフネグレストに陥っている形跡は感じられず、母親とのコミュニケーションもまだあるようなので、救いがある方だろう。
問題の金銭的な躓きに関しては、執行後の世間話で債務者自身から愚痴のような言及があった。
思えば同様の愚痴を聞く機会は、今回の事件に限らず一度や二度ではないため、大きな影を落としているのかもしれない。
今年これまで約半世紀の間続いた減反政策が廃止とされた。そのため、今後は奨励金や補助金という国からのサポートが受けられないという恨み言だ。
もちろんこれまで守られてきた制度の方がおかしいという意見もあれば、他業種と同じく正当な競争社会で力を発揮すべき、AIやドローン技術を駆使した自動化を取り入れるべきと言った意見もある。
しかし、一方で高齢化に人口減という状況を抱えながら、「よし、半世紀ぶりに本気を出せ」と言われて何人が新制度で開花できるだろうか。
多くの者は、これまで続けてきた生き方を惰性的に継続していくことしかできない。
これらは収入の将来的な目減りしか示していないのだが、彼らには打つ手立てもなければ、借りられる知恵もない。
また、農地には白地(農業振興地域内農用地区域外農地)と呼ばれるものと、青地(農業振興地域内農用地区域内農地)と呼ばれるものがあり、白地であれば農地以外への転用もある程度可能なのだが、青地ともなれば購入できる者にも制限があり、企業の参入にも高い障壁があるため、まず買い手がつかない。
これら白地と青地の線引も「たわけ」ではないが、農地の集団性が高いか低いかという部分に起因する。
長年土地に守られてきた人々が土地に首を絞められるという、不動産の「“負”動産」化がじわじわと広がっている。今後急速に増えることになるであろう相続すら放棄されていく農地は誰がどのように活用していくことになるのだろうか。
将来的ビジョン無しという「たわけ」な回答でなければ良いのだが。
【ニポポ(from トンガリキッズ)】
2005年、トンガリキッズのメンバーとしてスーパーマリオブラザーズ楽曲をフィーチャーした「B-dash!」のスマッシュヒットで40万枚以上のセールスとプラチナディスクを受賞。また、北朝鮮やカルト教団施設などの潜入ルポ、昭和グッズ、珍品コレクションを披露するイベント、週刊誌やWeb媒体での執筆活動、動画配信でも精力的に活動中。
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