必要があると思った場合は、これまでも何時間も説明してきた
11月2日に日本記者クラブで行われた安田氏の帰国後初会見は、予定を大幅にオーバーして2時間40分にわたった
――共同通信の記事を読むと、まるで安田さんの体調が悪いために聴取の時期が決まっていないような印象を受けます。
安田:あの記事については、どうしてこんな書き方になったんだろうと困惑しています。共同通信のインタビューを受けたのは、記事が出るずっと前。「要請があれば聴取を受ける」と言いましたし、記者から体調を聞かれましたが、「体調への懸念」はあくまで記者に対して話したことであって、「警視庁の聴取に耐えられるかの懸念」でもなく、ただ単に当時の体調を説明しただけです。警視庁からの要請など知りませんでしたし、体調について警視庁に言ったわけでもない。接触自体していませんから。
それに、必要があると思った場合はこれまでも説明してきています。11月2日の記者会見の前にも、外務省と警察庁に対して5時間説明をしています。質問はほとんどなく、こちらの意思で詳細に話したのでそれだけ時間がかかったわけです。警視庁公安部からの聴取を拒否する理由はないし「体調が回復してからにしたい」などと言ったこともありません。
――会見をするのもマスコミ取材を受けるのも、必要だと思ったからやっていたのですね。
安田:そのほかにも、同じ施設に監禁されていたイタリア人拘束者の情報を伝えるために在日本イタリア大使館に連絡し、同大使館員5人に何時間もかけて説明しました。
――共同通信からは、この件に関して取材はなかったのですか。
安田:「安田氏に伝えたという」という点が事実なのか、この記事を配信する前に私に当ててウラを取るということはありませんでした。聞いていただければ答えますし、その場で携帯を調べて留守電の存在にも気づいたわけで、「という」などという曖昧な表現はしなくてすんだはずです。「体調への懸念」も何日も前の話であって、配信する時点での話ではありません。NHKとフジテレビからは取材があったので、経緯を説明しました。
――あの記事が出て、ネット上で批判や憶測がわき起こっていることをご存じですか。
安田:知っています。「公安から逃げている」などと言われていますが、そこは明確に否定します。外務省は妻に「緊急なら電話を何度もかけ直すし、SMSも送る」と言っていて、実際に緊急時はそうだったようです。しかし警視庁からは、何度も電話がかかってくることはなかったようです。本当に急ぎではないのでしょう。日程については現在、警視庁からの連絡を待っているというのが事実です。
<取材・文・撮影/北村土龍>