共和党の右旋回、民主党の左旋回で「中間」がいなくなってしまった米国中間選挙

民主党の社会的マイノリティ候補が躍進

オバマ9

いまだ根強い人気を誇る、オバマ前大統領

 一方、民主党の看板となったのが未だに根強い人気のバラク=オバマ前大統領だ。多様性を認め、弱者・少数者をも包摂する社会を目指したオバマ前大統領。同氏は白人史上主義者と黒人が衝突したときに、ネルソン=マンデラの次のような格言をツイートした。 「肌の色や出自や信仰の違う他人を、憎むように生まれついた人間などいない。人は憎むことを学ぶのだ。そして、憎むことを学べるのならば、愛することも学べるだろう。愛は憎しみよりももっと自然に、人の心に根付くはずだ」  そのツイートには、自身がメリーランド州ベセスダの養護施設に子どもたちを訪ねた時の写真を添えられていた。  オバマ前大統領は中間選挙の遊説で全米をまわり、「トランプ氏は政治家があおってきた怒りや恐怖を利用している」「分断と憤怒と妄想の政治が、共和党を覆っている」「気候変動はいまここにある問題だ」「国境の壁ではテロの脅威を防げない」と批判した。そして、寛容なアメリカ・包摂するアメリカ・アメリカの融和を訴えた。  東部ニューヨーク州下院選では、民主党のアレクサンドリア=オカシオコルテス氏(29歳)が勝利し、女性で史上最年少の下院議員になることが決まった。当初は無名候補だったが、プエルトリコ系でウェイトレスだったことから庶民派をアピール、党予備選で当選10期の一躍「時の人」となった。  中西部ミシガン州、ミネソタ州の下院選では民主党から立候補したパレスチナ系のラシダ=トレイブ氏、元ソマリア難民のイルハン=オマル氏が勝利。イスラム教徒の女性初の下院議員となる。  西部コロラド州知事選では民主党のジャレッド=ポリス下院議員が当選した。同性愛者であることを公表した上で勝利した全米初の州知事になった。
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2年後の大統領選に誰を立てるか。民主党の課題
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