増える在タイ日本人美容師。美容・理容の日タイ差とは?

美容師が語る「日タイ美容師の違い」とは?

 一度、そんな美容院に足を運び、切ってもらったことがある。確かに、仕上がりが全然違う。筆者が空港で日本人と見られなかったことも納得である。そこで、その美容師に「タイ人と日本人の美容師の違いはなにか」と訊いてみた。すると、即答で「応用力」と返ってきた。  その美容師が言うには、タイ人美容師も日本人美容師も概ね、長い髪はこの形、短ければこれ、という「型」を持っているそうだ。日本人美容師は客の要望に対して、自分が持つ型をアレンジできる。ところがタイ人美容師はそれができない。つまり、タイ人美容師はどんなにわかりやすく要望を伝えても、最初からできる髪型は決まってしまうのだ。  これは教育の過程もあると考えられる。例えばテレビCMなどは素晴らしい映像を造りあげるので、タイ人に想像力がないわけではない。タイの美容・理容業は日本ほどの厳格な免許制度はなく、貧困層の雇用対策もあって、美容院などで一定期間働く道のほか、無料の職業訓練校にあるコースに通えば美容師として働くことのできる許可証が手に入る。  だから、コースではある程度の基礎しか行われないために、それ以上に技術力が進展しないのだ。

ざっくりしているタイの「理容師」

床屋に比べると、豪快さに欠けるタイ人の美容師

 タイ在住が15年を超える筆者は日本人美容院どころか、タイ人の美容院にも行かず、理容室、いわゆる床屋に行っている。  筆者がバンコクで美容室を利用せず、理容室に行くのには理由がある。大きなところでは値段。そして、切り方の違いだ。  日本人美容室がまだなかったころ、今から20年くらい前の話だ。当然筆者も若く、そのころはソフトモヒカンにいつもしていた。ある日、タイの原宿と言われたサイアム地区に行き、タイ人の美容院に入った。念のため日本で手に入れたヘアカタログを持参して行ったのだが、最初の美容院では角刈りにされてしまう。翌月別のところに行ったら、ただの坊主になった。だから、日本人美容師がタイ人美容師との違いを話してくれたときに、ものすごく腑に落ちる気がした。  価格については、バンコク中心部の美容室は当時も今も300~500バーツ(約1030~1720円)が主流で、この辺の価格上昇は他のジャンルに比べて殆ど無いのが不思議だ。ただ、理容師に行けば100バーツで済んでしまう。最近ある取材でタイ人経営の美容院に行ってみたのだが、筆者は豪快に短くしたくても、おしゃれなのはこれだと言い張って、中途半端に切られるだけに終わった。350バーツでこの程度かと思うと、100バーツの床屋の方が男らしい。切った髪の長さで価格が変わるわけではないのは百も承知だが……。

安さや豪快さだけでなく、昔懐かしい雰囲気もまたタイの床屋の魅力だ

 筆者が今通う床屋は、店主の気分次第というところも嫌いではないポイントだ。ある日は丁寧にハサミで整えてくれるが、面倒だと最初から仕上げまでバリカンしか使わない。タイの床屋もカミソリでヒゲを剃ってくれるが、それすらもバリカンだったことだってある。しかし、豪快に短くなるし、そもそも安いのでこんなものかと思えばコスパがよく、タイ人美容室よりも数段いいと感じる。  店も簡素なつくりで、日本のように豪勢なシステムがついた椅子もないし、ほんの一部の店しか目の前の鏡台下に洗髪台が備わってもいない。むしろ、タイでは理容室も洗髪は別の席で有料となる。  ちなみに、タイの一部、それから中国やベトナムでは「床屋」というと、風俗店を兼ねていることもある。知らなければ一見して床屋であるのだが、どう見ても店員が女性のみで、セクシーな服装をしていて、わかる人にはわかるのだ。
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タイ人床屋で散髪すれば見た目もタイ人風に!?
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