パワハラはどうすれば減らせるか? アンケートや社内報での啓蒙は効果薄

社員同士がストレスサインに気づける環境作り

 人がストレスを溜め込み始めると現れる症状がある。それが、「睡眠の質の低下」だ。  世界中でストレスと睡眠の質の関係性について研究が行われており、仕事上のストレスが溜まっている人ほど睡眠の質が下がり、睡眠不足や不眠症に陥るということがわかっている。  日本では産業医学研究所の中田光紀氏らが、睡眠の質とストレスの関係性について調査を行っており、ストレスが溜まることで、睡眠の質が下がることが確認されている。  たとえば周りに、ある日を境に突然「朝に寝坊することが増えた」「仕事中に居眠りをしている」などの症状が起きている人がいるとしたら、精神的ストレスが溜まっている可能性がある。  また、個人的経験からすると、トイレにこもる時間が増えた人も職場環境にストレスを感じてしまっており、一人になる時間を求めているための行動ではないかと考えている。  そういう人に「もっと頑張れ!」「寝てる場合か!?」と声をかけると、よりストレスをかけてしまう可能性があるので要注意だ。「頑張れ」という言葉をかけることが、パワハラにもなりかねない。  そういうサインを見つけたときは、その人の同僚や相談できそうな相手に「ちょっと話を聞いてあげてくれないか?」と、話しやすい相手とコミュニケーションを取る手助けをするか、相談窓口に「〇〇君が少し、しんどそうだ」と知らせてあげることが重要だ。  相談窓口の人は社員全員を監視しているわけではない。社員同士がストレスの溜まっているサインについて知り、気づき、適切な相手に知らせる環境づくりをすることが、「会社の生産性」や「やりがい」だけでなく、「仲間意識」を高めるためにも重要となる。 【参考資料】 「職場のパワーハラスメントに関する実態調査について」平成28年度厚生労働省調査 「日本人は、脳科学的に英語が下手」中野信子氏(『日経ビジネスONLINE』) 「日勤女性労働者の職業性ストレスと睡眠習慣の関連」中田光紀ほか 「労働者の生活習慣および職業性ストレスが睡眠の質に及ぼす影響」中田光紀ほか
山本マサヤ

山本マサヤ

【山本マサヤ】 心理戦略コンサルタント。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催。これまで数百人に対して仕事やプライベートで使える心理学のテクニックについてレクチャーしてきた。また、メンタリズムという心理学とマジックを融合した心理誘導や読心術のエンターテインメントショーも行う。クラウドワークスの「トップランナー100人」、Amebaが認定するう芸能人・著名インフルエンサー100人に選出 公式ホームページ:https://masayamamoto.com Twitter:@3m_masaya Instagram:@masaya_mentalist
心理戦略コンサルタント。著書に『トップ2%の天才が使っている「人を操る」最強の心理術』がある。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催中。
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