H-IIAロケット40号機の打ち上げ (C) JAXA
三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2018年10月29日、国産大型ロケット「H-IIA」の40号機を、種子島宇宙センターから打ち上げた。
ロケットには、温室効果ガスを観測するJAXAの衛星「いぶき2号」のほか、アラブ首長国連邦(UAE)の地球観測衛星「ハリーファサット(KhalifaSat)」も搭載されていた。UAEのハリーファ大統領の名前を冠したこの衛星は、同国にとって初の国産衛星である。
そのきわめて重要な衛星の打ち上げに、なぜH-IIAが選ばれたのだろうか。
H-IIAロケットは2001年から運用が始まった日本の国産ロケットで、今回で40機目の打ち上げとなり、6号機で失敗した以外はすべて成功し、打ち上げ成功率は97.5%と高い実績をもつ。また7号機以降は、34機連続で成功し続けている。
H-IIAは価格の高さなどから、国内外の衛星会社からの打ち上げ(商業打ち上げの受注はなかなか果たせず、もっぱらJAXAや日本政府の衛星の打ち上げといった、国内の官需打ち上げが中心だった。
しかし、2009年に韓国から商業打ち上げを受注したのを皮切りに、2013年にはカナダの大手衛星通信会社であるテレサットからも受注。そして2015年には、MBRSCから今回のハリーファサットの打ち上げを受注した。
ハリーファサットは、アラブ首長国連邦(UAE)・ドバイの宇宙機関であるMBRSC(Mohammed bin Rashid Space Centre)が開発した小型の人工衛星である。
分解能70cmのカメラを積んでおり、宇宙から地表を撮影し、そのデータを環境問題の解決や、都市計画、都市管理、自然災害に対する救助活動などに活用することを目指している。
ハリーファサットはまた、UAEにとって初めて、自国で設計・開発した国産衛星でもある。同国は2009年に「ドバイサット1」、また2013年にも「ドバイサット2」という小型の地球観測衛星を打ち上げ、運用しているが、これらは韓国の衛星メーカーに発注して製造されたものだった。
UAEはかねてより衛星の国産化に向けて研究・開発を続けてきており、今回のハリーファサットの完成、そして打ち上げは悲願でもあった。
ハリーファサットの想像図 (C) MBRSC