株式投資でなぜドル円相場を見るべきか? 元日経新聞記者が実体験から考察

円安になると、輸出依存型の日本企業は株価が上がる

為替相場 元本割れすることなく、ローリスク・ミディアムリターンを狙って着実に利益を出していく“石橋を叩いて渡るネット株投資術”(石橋攻略)。今回は、ドル円相場が株価の動向に与える影響について説明します。  時差の関係もあり、NY市場のドル円相場は日経平均株価(略称日経平均)に大きな影響を与えます。日本の主力企業は自動車や家電、機械、精密機器、鉄鋼、化学製品などに代表されるように、輸出依存型の企業が圧倒的に多いためです。

1ドル=360円のゆりかごで、日本は高度成長を謳歌した

ドル円相場

ドル円相場の推移

 ドル円相場を長期トレンドで振り返ると、ドル安、円高の歴史だったといえます。戦後の日本が1ドル=360円を設定したのは、1949年(昭和24年)4月25日です。それ以降この固定為替レートは20年以上続きました。  しかし日本が1960年代に高度成長を謳歌した時代、逆に米国経済は衰退化が目立ってきました。貿易黒字を拡大させる日本に対し「1ドル=360円は日本に有利過ぎる、円の実力はもっと強いのではないか」との指摘が欧米の経済学者、実務家の間で強まってきました。日本の経済学者の中にも同様の指摘をする経済学者が増えてきました。  固定相場制を維持できなくなった米国は、1971年(昭和46年)8月28日、変動相場制移行を宣言しました。これがニクソンショックです。日本は同年12月末のスミソニアンでの10か国蔵相会議で「1ドル=308円」(16.88%の切り上げ)を受け入れました。これが円高への第一歩になりました。  これ以降、世界の通貨体制は変動相場制に移行し、円高が着実に進みました。1980~2018年のドル円相場の推移をみると、安倍政権成立直前の2011~12年頃には1ドル=75円近くまで円高が進んだことが分かります。  2012年12月末に第2次安倍政権が誕生し、積極的な財政政策と超金融緩和政策を柱とするアベノミクスがスタートすると、円安が急速に進みました。
安倍政権下の相場

安倍政権下のドル円相場の推移

 安倍政権時代のドル円相場を見ると、2012年11月初め頃の円相場は1ドル80円程度でしたが、12月下旬に安倍政権が発足し、大幅金融緩和を主張する黒田東彦新日銀総裁が2013年4月に登場すると急速に円安が進み、4月中旬には100円近くまで下落しました。2015年には120円を越えるまでになり、さすがに行き過ぎではないかとの批判も出てきました。  円安は日経平均を大幅に押し上げ、2012年11月初めの約9000円から2013年4月中旬には1万3500円を超えるまで上昇しました。わずか4か月ほどの間に、日経平均は4500円近くも跳ね上がったのです。18年10月初めには日経平均は2万4270円(終値)まで上昇し27年ぶりの高値を付けました。  円安は輸出企業にとって大きな援軍です。たとえばある年の1月初め、自動車メーカーが1ドル80円の時に、1台1万ドルの車をアメリカに輸出したとします。この場合、自動車メーカーの売り上げは円ベースで80万円です。  4か月後、円安で1ドル100円になったとします。この場合自動車メーカーの円ベースでの売り上げは100万円になります。同じ1台1万ドルで輸出しても、円安によって1台当たりの売り上げは20万円増えることになります。  輸出企業にとって、円安は営業利益の改善に役立ちます。当時、円が1円安くなるだけで、トヨタの場合は営業利益が350億円、パナソニックは25億円も改善すると言われていました。
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為替相場が意味するものとは?
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