株式投資でなぜドル円相場を見るべきか? 元日経新聞記者が実体験から考察

シカゴ日経平均先物の動向も重要

シカゴ日経先物

シカゴ日経平均先物の推移

 ドル円相場と並んで、シカゴ日経平均先物(Nikkei225 Futures)の動向も重要です。シカゴ日経平均先物とは、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引されている日経平均の先物取引です。日経平均先物取引は、国内だけではなく海外ではシカゴとシンガポールの取引所でも行われています。  先物取引とは、ある商品を将来のある時期にいくらで売り買いするかを取り決める取引のことです。日経平均先物取引とは日経平均株価指数を将来いくらで売り買いするかの取引です。  取引には期限があります。日経平均先物取引では、3月、6月、9月、12月の第2金曜日が満期日に設定されています。これを限月(げんげつ)取引といいます。直近の限月が最も取引量が多く、期近物(きぢかもの)と呼びます。シカゴ日経平均先物価格は、期近物の価格です。  たとえば日経平均先物の12月物を11月に1万円で買った場合、満期日の12月第2金曜日の日経平均を1万円で買ったことを意味します。満期日までに1万円より高い値が付けば、売却益が得られますが、1万円以下では損をします。  日経平均先物取引は大阪証券取引所で行われています。日中取引(午前8時45分~午後3時15分)の他に夜間取引(16時30分~翌日午前5時半)も活発です。日中取引は東証での現物取引と密接に関わり合いがみられます。  夜間取引も実施されています。2007年までは19時で終了していました。2008年には20時まで延長、さらに10年には23時30分まで、11年には翌日の午前3時まで延長、2016年にはさらに午前5時半まで延長されました。この結果、シカゴと取引時間がほぼ重なり、両取引所の終値(おわりね)はほぼ近い数値になります。終値が同じになる場合もしばしばみられます。  このため、大阪での夜間取引の終値をチェックしておけば、必ずしもシカゴ日経平均先物の終値をチェックしなくても済むようになってきました。とはいえ、シカゴ先物には直前のNYダウや米国債の利回りなど米国経済の影響が色濃く反映されます。大阪とシカゴの先物終値(期近物)は、その数時間後に始まる日経平均株価の寄り付きに大きく影響します。  前日のシカゴ日経平均先物、大阪の夜間取引の終値がともに上昇する時は、その日の日経平均も上昇する傾向が強いし、逆に下落の場合は、日経平均も下落で始まる可能性が強くなります。特に日本が休日の場合、シカゴ日経平均先物取引は実施されているので、休日明けの東京市場の寄付きを予想する際には役に立ちます。 <文/三橋規宏> みつはしただひろ●1940年生まれ。1964年慶応義塾大学経済学部卒、日本経済新聞社入社。ロンドン支局長、日経ビジネス編集長、科学技術部長、論説副主幹、千葉商科大学教授、同大学名誉教授、環境を考える経済人の会21事務局長等を歴任。主著は『新・日本経済入門』(日本経済新聞出版社)、『ゼミナール日本経済入門』(同)、『環境経済入門』(日経文庫)、『環境再生と日本経済』(岩波新書)、『サッチャリズム』(中央公論社)、『サステナビリティ経営』(講談社)など。
経済ジャーナリスト。1964年、日本経済新聞社入社。ロンドン支局長、日経ビジネス編集長、論説副主幹などを経て、千葉商科大学政策情報学部教授。2010年から名誉教授。専門は日本経済論、環境経済学。編著書に『新・日本経済入門』(編著、日本経済新聞出版社)『環境が大学を元気にする』(海象社)など多数。『石橋をたたいて渡るネット株投資術』(海象社)を8月9日に上梓。
1
2
3