トランプ大統領もボルソナロの勝利に強い関心を示し、投票日の翌日29日にトランプはボルソナロにお祝いの電話を入れて、「協力して一緒に働きたい」と伝えたそうだ。(参照:「
La Nacion」)
ボルソナロの外交の基本軸は南米の自由経済ブロックを、アルゼンチンそしてチリとの3か国で築きたいとしている。それに米国が加わることになる。(参照:「
El Cronista」)
ヨーロッパでは同じく極右が連立政権を担っているイタリア政府のリーダーマテオ・サルビニは「ブラジルで、市民は左派を追い出し、ボルソナロ大統領の為によくやった。両国と両国政府の友情はより強固になるだろう」という声明を発表した。(参照:「
El Cronista」)
ただ、ルラとルセフの13年続いた左派政権によって中国との関係が強化され、2001年から2017年までの中国からブラジルへの投資は480億2100万ドル(5兆2800億円)というラテンアメリカで中国の最大投資国になっている。2番目に投資額の多いペルーの193億4700万ドル(2兆1300億円)を大きく引き離している。
この大規模な中国からの投資を危険に晒してまで、トランプが実行している無謀な中国と輸入関税率の引き上げ争いといったようなことをボルソナロは真似ることはないであろうという見方もある。(参照:「
Infobae」)
しかも、プーチン大統領からの祝辞のメッセージの中に、両国の信頼関係をより発展させたいとした上で、インド、中国、南ア、ロシアそれにブラジルとで構成されているBRICS。近い将来イランも加盟するという噂もある。この組織に極右で政治イデオロギーの全く異なったボルソナロがBRICSの首脳会談に参加するのは些か異様な感がする。
因みに、アルゼンチンもクリスチーナ・フェルナンデス前大統領の政権が今も続いていればBRICSに加盟する予定であった。しかし、マクリ大統領は180度方向転換して欧米寄りに舵を切った。ボルソナロもマクリと同じように方向転換するはず。しかし、その度合いがまだ未知数である。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身