ランドスペースが打ち上げた「朱雀一号」 (C) Landspace
ランドスペースが、設立からすぐに国や民間のファンドから投資を受け、そして「朱雀一号」をわずか3年で開発することができた背景には、中国の宇宙産業をめぐる大きな変化がある。
中国は2015年、「2015年国防白書」の中で、コストの効率化や技術の近代化を目的に、軍事活動に民間支援を結合させる「軍民統合」を進めることが明記された。宇宙分野でいえば、ミサイル技術を民間が活用することが可能になった。
実際、「朱雀一号」は中距離弾道ミサイル「東風26号(DF-26)」をもとにしたと考えられており、そうだとすれば、わずか3年という短い期間で開発し、打ち上げまでこぎつけられたのもうなづける。
また、清華大学といえば人民解放軍とのつながりが強いことで知られ、それも両者の結びつきを示唆している。
くわえて2016年には、「2016年中国宇宙白書」が発表され、宇宙業界への民間の参入を積極的にうながす方針が示された。さらに中国は、リーマン・ショックを契機に、2010年ごろから政府自ら旗振り役となって、ベンチャーやスタートアップを育てる環境を整備。いまでは「チャイナ・ドリーム」という言葉も生まれ、ベンチャーが次々と立ち上がり、しかもユニコーン企業(非上場で時価総額が10億ドル以上の企業)の数も米国に次いで多い。
ランドスペースが誕生したのは決して偶然ではなく、中国が撒いた種が着実に芽吹き、そして成長しつつあるということを示している。