では、具体的にはどのように「返報性のルール」を使うのか? 結論から言うと、「自分がほしい情報と同等の価値を持つ情報を先に提供する」のである。
営業活動やビジネスシーンでは、真剣になればなるほど、相手のことが見えなくなって自分のことを優先してしまう。そうして、つい自分がほしい情報を引き出すための質問から会話に入ってしまう。
そうではなく、まずはほしい情報と同等の情報を提供し、そのあとに「御社の場合はどうですか?」と聞く。「情報を提供する」という“恩を売る”ことで、相手が自分のことをどう思っていようが、「返報性のルール」が働き、情報を提供してくれやすくなるのだ。
このテクニック、最近ではコールセンターのマニュアルでも活用されている。相手の名前を知りたい場合は、「私は山本と申します。お客様のお名前をお伺いできますでしょうか?」と相手の名前を聞く前に、まずは自分が名乗るという流れが一般的だ。
「返報性のルール」によって、相手は「なんで名前をいう必要があるの!?」という感情を抱きにくくなる。普段からクレーム対応の多いコールセンターだからこそ、相手が自分をどう思っているかに関係なく、情報を引き出せる「返報性のルール」が効果を発揮しているのだろう。
相手との関係性がどうあれ、引き出したい情報があるならば、この「返報性のルール」を活用していただきたい。
【参考文献】
『影響力の武器 』ロバート・B・チャルディーニ
Regan,D.T.(1971). Effect of a favor and liking on compliance. Journal of Experimental Social Psychology, 7, 627-639
山本マサヤ
【山本マサヤ】
心理戦略コンサルタント。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催。これまで数百人に対して仕事やプライベートで使える心理学のテクニックについてレクチャーしてきた。また、メンタリズムという心理学とマジックを融合した心理誘導や読心術のエンターテインメントショーも行う。クラウドワークスの「トップランナー100人」、Amebaが認定するう芸能人・著名インフルエンサー100人に選出
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