悪徳商法のような高プロ制紹介。厚労省が駆使した「ご飯論法」の悪質さ

高プロに「すごく厳しい規制」と詭弁を弄する竹中平蔵

 年104日以上の休日確保などの健康確保措置は、この厚労省リーフレットでは「手厚い仕組み」「新たな規制の枠組み」と位置付けられていた。このような見方は、高プロ推進派の竹中平蔵氏(パソナ会長)の見方と共通する。  筆者は5月30日にNHKクローズアップ現代+「議論白熱! 働き方改革法案~最大の焦点“高プロ制度”の行方~」に下記の4者のゲスト(肩書はNHKによる)の一人として参加した。 ● 竹中平蔵(東洋大学教授) ● 上西充子(法政大学教授) ● 吉田浩一郎(クラウドワークス社長 新経済連盟 理事) ● 棗一郎(日本労働弁護団 幹事長)  この番組の中で竹中氏は、棗一郎弁護士や筆者らの批判に対し、年104日の休日確保を「すごく厳しい規制」と強調してみせたのだ(参照:NHKによる番組の文字起こし) “竹中さん:今までの議論の中で、ものすごく大事なことが全く抜けてるんですね。「全ての規制を外す」という議論が横行していますけれども、そうではなくて、すごく厳しい規制が課されるんです。これは「最低これだけ休みを取りなさい」と、休みを規制するんです。休みを強制するんです。だから、休みを強制して、その休み以外の時間については自由にしなさいということですから、全く何も規制のないところに放り出されるとか、それはやっぱり非常に誤解を招くと思います。これは使用者にとっても、例えば年間104日、休日を取れと、これはほとんど完全週休2日制ですよ。それで4週間で、必ず4日取れというのも、ものすごく厳しい、要するに休日を取れという規制もしているわけで、そこのやはりバランスを見ないと、議論は誤ると思います。”(上記文字起こしより)  しかし、年104日の休日確保は「すごく厳しい規制」ではない。また、批判者は「全ての規制を外す」と指摘しているわけではなく、年104日の休日確保という規定が新たに設けられることは知った上で批判しているのだ。にもかかわらず、「『全ての規制を外す』という議論が横行している」「まったく何も規制のないところに放り出される」と、批判者の批判を曲げて紹介し、新たに「すごく厳しい規制が課される」と印象づけようとしている。  この竹中氏の番組での姿勢と、9月に公開された厚労省のこのリーフレットの姿勢は、同じだ。
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意味不明な文言で逃げ回る国会答弁
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