視線が示す心理は、文化や人種、性別によって大きく異なる
こんにちは、微表情研究家の清水建二です。今回のテーマは、視線です。視線が向かう方向と視線が注がれる継続時間から他者の想いや意図を察する方法について紹介したいと思います。
最初に視線の方向についてです。何でもよいので会話中のシーンを想像して下さい。会話相手の視線が向かう先に、その相手の「関心」があります。会話相手の視線があなたに向かう場合、あなたに関心がある可能性が高く、視線を落としている場合、相手は自分自身に関心を向けている、つまり自分を見つめている、自分と語り合っている可能性が高いと考えられます。
例えば、相手が軽蔑表情を浮かべているとしましょう。視線があなたに向かっていれば、あなたに軽蔑を抱いている可能性が高く、視線が下に向けられていたら、相手は自分に軽蔑、つまり自己卑下をしている可能性が高いということです。視線が向かう先に感情は届けられるのです。
特に感情的になるようなトピックを話していない場合、相手の視線があなたから外れるとします。この意味は「考え中」です。目の前のあなたを見ていたら、視覚情報に邪魔され考えに集中できません。
そこで視覚情報をシャットアウトするために視線を外すのです。視線の方向としては上か下、あるいは目を閉じるです。上は空か天井、下は床なので、前を向いているよりは視覚情報は邪魔になりません。目を閉じれば闇ですので言わずもがなです。
ただ、この視線の外し方には文化差があることがわかっています。私たち日本人は考え事や記憶を辿っているとき視線を落とす傾向にあり、欧米の方たちは上に向ける傾向にあります。視線を落とすことで謙虚に、見上げることで自信があるように見えるからだと考えられています。
欧米の方たちとの会話をしているとき「ちょっと考えたい」と思ったならば、視線を上に向けることを意識するとよいでしょう。下を向くと自信がないように思われてしまう可能性があり、同じメッセージでもその伝達力が変わってしまいます。
ところで、目をそらすや視線が右上を向くのはウソのサイン、ということを聞いたことがあるかと思います。しかし、この関係については科学的には反証されています。このことについて本連載の「
NLP実践者がよく提唱する『目をそらしたら嘘をついている』は本当なのか」(2017.2.19)に書きましたので興味ある方はお読み下さい。